2014/12/05

半七捕物帳 28~33 【再読】

kindle版
■岡本綺堂
28 雪達磨 ★★
冒頭で当時の読者からのクレーム?に対する反論が述べられているのが面白い。半七が縄張り外で活躍するのはおかしくないかというのだね。
大雪が降って雪だるまが江戸中にたくさん作られた。そのひとつが溶けた中から男の死体が出てきて…。
南京玉って飴玉かと思ったらガラスか陶器のビーズのこと、それが事件の謎をとく鍵になる。
このシリーズは難しい言葉では書かれていないんだけど、いまは日常つかわないような言葉がけっこう出てくるので、文庫とかだと脚注があるのかな。電子書籍版だとその場でとりあえず検索してるけど、この辞書そんなに親切じゃないのが玉にキズ。あと、画面の具合でうまく単語をマーク出来ないことがたまにあるのでそれがちょっと残念。

29 熊の死骸 ★★
「ぼんくら」という言葉がこの話でもつかわれる。江戸の大火事の様子が恐ろしかった。そこへさらに獰猛な熊が加わって大変である。いったいどういう話になるのかと思ったら最終的にはこれもお金と男女の縺れのミックス。まあ事件の原因の二大要素だもんね。そこからよくここまでバラエティー豊かに話を作るなあ。

30 あま酒売 ★
江戸時代ならではだなあ、半七さんや同心の旦那まで「切支丹」で頷き合ってて驚愕。そして最終的な甘酒売りの老女の「たたり」の正体も現代では有り得ない解決でみんなが納得しているのがなんともはや。

31 張子の虎 ★★
悪人を捕まえるのを助けて一躍有名になった遊女が何者かに殺された。その枕元には張り子の虎が…。
タイトルになっているくらいの「張り子の虎」なのに、このイキサツは後であわてて取ってつけたみたいでちょっと残念だなあ。この種のハッタリでツカミ→あとでつじつま合わせというパターンが少なからずあるような気が。まあストーリー展開そのものや謎解きの過程はなかなか良かった(それにしても犯人がしゃべるのを陰でこっそり聞いて御用、のパターンもけっこうあるよね。そんな都合よく隠れつつ内緒話が聞けるものかなあ)。

32 海坊主 ★★
潮の満ち引きや颶風が来るのをいち早く予言した謎の奇怪なナリをした男。それがどうして半七親分の事件になるのかなあと疑問に思いつつ読んでいったけど最後まで読んでも何故予言出来たかは結局不明なままだし、何故あの話から半七親分が事件とか犯罪のにおいをかぎつけたのかもよくわからなかった。変な話だから面白かったけどね。ふつうのひとびとが岡っ引きに協力的なのが意外だけど江戸時代はそんなものだったのかしらん。

33 旅絵師 ★★★
隠密の話。思うところある様子の娘の言動と旅絵師の心情がなかなか面白かった。現代と変わらないなあこういうのは。隠密についての話というのもイイ。父親の依頼のエピソードも時代ならではだなあ。短篇だけど、深みがあった。