2014/12/03

半七捕物帳 17~27 【再読】

kindle版
■岡本綺堂
17 三河万歳 ★ 鬼っ子を抱えた若い男が死んでいて。
鬼っ子をたよりに手がかりを探す中で猫を無くしたのがいてそれに引っかかるくだりがよく呑み込めなかった。竜頭蛇尾気味。

18 槍突き ★ 槍突きの通り魔か?猫が娘に化けた? 娘の正体が小気味良かった。

19 お照の父 ★ 河童が飛び込んできて殺した? 犯人うんぬんより河童のくだりが面白かったなあ。「向島で河童と蛇の捕物の話」をするという約束をしたのは10話「広重と河獺」の〆んところデスね。

20 向島の寮 ★★ 法外な高給で奉公の長期契約。蔵の中の謎。謎めいたふうにしたかったんだろうけどヘビはどこ行ったのかなあ。このシリーズはホームズの影響を感じるけどこれもなんとなくそんな雰囲気がした。

21 蝶合戦 ★★★ 尼さんが首を切り落とされ殺害。猟奇的殺人。「何故犯人はそうしたか」ミステリーの王道だね。問題提起から解決までなかなか面白かったが後半はほとんどまとめ語りというのにはずっこけた。長さが決められていて仕方ないんだろうけどもさ…なんとかならないのかねえ。この種の「はしょり」はこのシリーズいままでも何度かあったけど、この話は群を抜いてひどかった。

22 筆屋の娘 ★★★ 筆をなめて売ると評判の美人姉妹の姉が毒で死に…。この犯人バカ過ぎる。

23 鬼娘 ★ 喉を喰い千切られ殺される事件が連続して起こる。半七親分がカッコいいところを見せる。

24 小女郎狐 ★★★ 松葉でいぶされて若者7人の内5人が殺された。狐のたたりか。
宮部みゆきがこのシリーズの愛読者というのは有名だけど江戸の同心を主人公にしたのが『ぼんくら』シリーズ。で、この話に「ぼんくら」に傍点つきが出てきたので思わずニヤリ。

25 狐と僧 ★★★ 住職が行方不明となり住職の格好をして死んでいる狐が発見された。住職は狐だった!?これも面白い事件。こういうのを理詰めで解いてくれるのが嬉しい。

26 女行者 ★★ 実は京の公家の娘だという評判の美人行者の正体は…。単なる詐欺か、尊皇攘夷派が絡んでいるか手探りという幕末ならではの役人たちの神経質になっている様子が興味深し。関係ないけどこの話に「木挽町」@吉田篤弘が出てきてこれもニヤリ。

27 化け銀杏 ★★ この事件の冒頭は「ひええ、酷い!」とこちらの心臓を鷲掴みにされたような気持ちになった。それにしてもある意味狐と狸の騙し合いみたいなところあるね。最後らへんのお殿様の思い切りの良さには「や、やっぱ育ちが違うわ、庶民では考えられんわ」と驚愕。にしてもお寺の人間に悪いのがけっこーふつうにいるっていうのは何だかイヤだなあ。

ここまで読んできて現時点の雑感。
①とりあえず「ツカミ」が大事みたいで面白そうなネタが出てくるが、最後まで面白いのもあればしゅるるるとしぼんでいくのもある感じ。でも総じて一定のレベルは保たれており、素晴らしい。
②ネタによったら前後篇に分けたりしてじっくり書いてくれてもいいのに「一話完結読み切り」シバリがあったんだろうなあ、惜しい。
③半七親分恰好良すぎ。惚れるわ。時々自腹を切ってるけど、大丈夫なのかなあ。
④現代の感覚だと犯人が超簡単に死刑になるのが厳しいなあというか。死刑のなかにもランクがあって、厳しいのは市中引き回しの上…っていうやつか。ある事件で犬を生き埋めにして処刑というのがあったが、これは現代の感覚からすればまったく有り得ない、犬に刑罰は無いよねえ。飼い主が罰されるだけで充分かと思うんだけど、むしろ犬のほうが残酷な殺され方してるところがなんとも…。