2014/11/02

特集 高野文子

絵柄に惹かれて漫画を手に取った。最初に読んだのはちくま文庫の『るきさん』。
いま思えば高野作品の中でももっとも一般受けするわかりやすい・入りやすいところから入ったんだな。
好きな高野さんについてなにか書こうとまとめて読み直してみた、いろいろ思うこと、感じることはあるにはあるのだが上手く言葉に出来ない感じで、2002年に「ユリイカ」が高野文子特集をやったときのを引っ張り出してきてこれをまた読みかえしてみたがまー皆さん難しいことを書いてらっしゃる、やっぱり各人それぞれに思い入れみたいなものがあるし、同じ作品でも目の行く場所が重なるポイントもあるけれどそうでないところもあるようで。
というわけで難しいことはこの雑誌をどうぞ。
高野さんご自身の対談とかもあるのでいろいろどういうふうなことを考えて書いてらっしゃるかなどもわかって興味深い。


ユリイカ 2002年7月号 特集 高野文子

青土社
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▼わたしの好きなシーン、はっとしたシーン等。

 観音さまが動いてらっしゃる、その手・布地の流れが美しい。はなしの内容の悲しさと女の子や観音さまの飄々とした表情のギャップが何度読んでもやっぱり素直には飲み込めなくてアタマで読まなきゃやってられない。 「ふとん」(『絶対安全剃刀』所収)より

本好きの、本にのめり込むようにして生きている実ッコちゃん、でも本を読む習慣のない周りの人間にはその欲求はただの贅沢・無駄とさえ扱われ、現に彼女の母親はこういう表情をする。その容赦のない目の陰り眉の顰め方口元に込められた不満にシン、としてしまう。 『黄色い本』より


親元を離れ東京に行きたいという思いと家にずっといて良い子でいなければならないんじゃないかというせめぎあい。無口なかずちゃんがラジオからかかってきた電話ですんなりと自分の本心を語るシーンがとても鮮やか。
その直前のこのシーン。ラジオで自分の名前がいきなり呼ばれたら本当にびっくりして信じられないくらいどきどきしますよね。
「あぜみちロードにセクシーねえちゃん」(『絶対安全剃刀』所収)より

スクリーントーンの濃淡、白い部分とのコントラスト、畳の上に投げ出されたぷっくりした小学生の手足のやわらかさ。
日本の、少し前のどこにでもあったろう夏、を実に鮮やかに端的に表わしている作品。
「玄関」(『絶対安全剃刀』所収)より



このお話は洋画風というかやたらドラマチックなコマ割り・気障ったらしいネームが多い「作られた話」という感じなんだけど(まあそれはそれで面白いんだけど)、ほぼ脇役である主人公の主人である大富豪の娘ダリヤ=ポポーンズ嬢がわたしはとても好きである。
『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』より

▼寡作なので単行本は以下の6点のみ。『るきさん』は単行本・文庫本の2種類あり。
絶対安全剃刀―高野文子作品集おともだちラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事 (Mag comics)
るきさんるきさん (ちくま文庫)棒がいっぽん (Mag comics)
黄色い本―ジャック・チボーという名の友人 (アフタヌーンKCデラックス (1488))

▼以下、高野文子装丁の本・CDなど画像の一部。
新井素子『グリーン・レクイエム』は中学のときにこの作家にはまっていたので中学か高校で読んでいる、この表紙も覚えている、ああ、高野さんだったんだなあぁ~。

チボー家のジャック(新装版) 別冊宝島「北村薫CompleteBook」 (別冊宝島 (1023)) グリーン・レクイエム (講談社文庫)
覆面作家は二人いる (角川文庫) 覆面作家の愛の歌 (角川文庫)
※この記事は再掲載です。