2014/11/03

ダンス・ダンス・ダンス 【再々読】

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
売り上げランキング: 13,143
■村上春樹
もういいかなとは思ったのだけど「鼠」をめぐる「僕」シリーズの完結篇にあたるこれ、ちょっと読みはじめたらなかなか面白かったので最後までつきあうことにした。

前3作は「わたしのなかでもう賞味期限が切れてしまった」という感じがしたが、本書はそういう感じがせず、ふつうに「物語」としてストーリー展開などに興味を持って読むことができた。まあさすがに3回目なので読む前にだんだん思い出してそれをなぞっていくようなところもけっこうあるのだけれど(前回読んだのは調べたら2004年1月だから10年ぶり)。

この話の「僕」は34歳になっている。
前作でいろんなものを失った彼は、なんだかとっても無気力なアンニュイな感じになっているところのようだ。無理もない。

それにしても読みはじめから読み終わりまで彼が見事にずっと…なんというか…「マッチョ」というのかなこういうのを?
もちろん彼は筋肉ムキムキの肉体派ではない。そういう「マッチョ」じゃない。でもなんていうか、――「草食系男子」と真逆の位置にいるというか……絶えず女のひとが絶えない。34歳なんだけど出てきてそういう関係になるのはすべて20代前半で、若くて綺麗でスタイルのいいひとばかりだ。そのことごとくが彼に好意を示す。別に恋人とかそういう関係にはならない、恋愛感情があるとも思えない、でも最終的にはいずれも彼とベッドを共にする。
男性も出てくる。結局彼も「僕」に親愛の情を示す。
なんていうか……読みながら「勝手にやってれば?」という意地悪な気がしてくるのはわたしがひねくれているからなんだろうか。
これってそんなに普通のことなのかなあ?

この話では実に多くのひとが死ぬ。
読んでいて、そのことは全然覚えていなかった、というかそういう話だと思っていなかったのでびっくりしたのだが「僕」の周りでひとが「消えて」いく。
そしてそのへんの処理の仕方がここぞとばかりに「純文学性」を発揮していて、つまりそれは「ある個人の死」というよりはまるでなにかの象徴かのように語られる。

本書の単行本が出版されたのは1988年で、2014年現在の意識でこれを読むと「ああ、このころの日本は元気だったし未来はずっと明るく見えていたんだろうな」ということを何回も考えずにはいられなかった。なんせ「高度経済成長期」「経費で全部落ちるんだ」というワードがぱかぱか出てくるのだ。「消費は美徳」だった時代。

電話がかかってくる約束がある「僕」は夜、外出を断る。
そういう時代だったんだなあ。