2014/11/26

もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵 【再読】

もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵 「椎名誠 旅する文学館」シリーズ
クリーク・アンド・リバー社 (2014-06-05)
売り上げランキング: 16,236
kindle版
■椎名誠
単行本は1981(昭和56)年4月本の雑誌社刊。絶版。
山藤章二の装画で、ソフトカバーだったがずっしりと物理的に重たかったことを覚えている(椎名誠にハマっていた時期に購入し結構長く持っていたのだが、住宅事情から泣く泣く手放した)。

もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵
椎名 誠
本の雑誌社
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2000年4月に角川文庫から文庫版が出たらしいがこれも既に絶版。
今回電子書籍でキャンペーン中だったので100円で入手出来た。
『国分寺のオババ』とか『ひるめしのもんだい』と比較すると中身が濃厚で面白く、読みでがあった。
椎名さんは1944年生まれなので、本書は36、7歳頃に書かれたものか。
随分「トンガっているなあ」と思う箇所も結構ある。雑誌をほんとによく読まれている。熱心だ。
中身が昭和56年以前に書かれているわけだから書かれている内容が古いのは当然だが、むしろ「ああ今から30年以上前はそんな感じだったんだ」とか、「この雑誌、いまもあるぞ」とか「ちょっと前まではあったんだけどなあ」とか面白いのだ。
「書棚に飾る為の全集が売れている」とか、今ではもう無いんじゃないかなあ。ほるぷ出版てそうだったのか。
「日立RAP-161型」というのはエアコンのことである。
「メメクラゲの秘密」というのは有名な「××クラゲ」が誤植?というか誤解?で「メメ」になった件。
椎名さんは新刊書店で雑誌とか立ち読みするのを是としているけど、立ち読みは中身を確認する程度はともかく、それを楽しみに書店に行くとかはわたしはいかんと思う。本を書く立場のヒトがこんなこと言ってるんだなあ。
でも全体としてずっと本、活字、その他出版関係などの話ばかりなので(後半違う媒体に同じようなことを書いているのが重複するみたいになっている部分もあるが)関心が薄れないのだ。

本書の構成は以下のようになっている。
「もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵」…ルポ風の創作小説。本書の総ページ数からすると16%くらいの分量。「めぐろこおじ」という活字中毒者(本書では違う言い方がされているが)が出てくるのでなんだか微妙に実在モデルっぽくて面白い。味噌蔵がある家とかそこに住む女の人とかモデルいるのかなあ。
連続性視覚刺激過多抑制欠乏症の男/午後十時三十分の笛吹きケットル/脳裏をかすめる呪いの藁人形/妙子と義男の愛憎赤裸々紙吹雪/夕陽にふるえる柿の木枇杷の木/詭計策略薄暗の逃走/地獄の味噌蔵

「活字とインキの大サーカス」…本にまつわるエッセイ。本書の32%くらい。
ほるぷ出版の本はかなしい/書店はとてもエライのだ/インチキベストセラー/うなだれし荒野のベストセラー/文藝春秋10月号四六四頁単独完全読破/サンリオ出版「恐怖の報酬」のウンコ的本づくりに文句をつける!/茗が谷書店の親父大決断!/銀行ロビーになぜアサヒ芸能はないのか/いま問題なのは電車のなかでどう読むか―なのだ/腰巻など脱がせてしまえ! 

「すべての問題を前向きに善処したいのだ」…本にまつわるエッセイ。本書の11%くらい。
駅前エロ雑誌群/オソロシ文学賞/日立RAP-一六一型/武蔵小金井の古本屋/東南アジアの純ブンガク/つげ義春の「ねじ式」に出てくるメメクラゲの秘密/朝日新聞の読み方/山松ゆうきちのギャンブルまんがには、人生があるのだ!/雑誌の特集/埼玉県の本屋さん/お熱38度6分でも読める本というのは、これはもう感動的<面白本>なのだ!/茗荷谷のキオスク/マトモ週刊誌のまんがが面白くないねえ/見てしまったのだ、ついに!/だれか原稿用紙のお話を書いてくれえ/ヨコ文字ペーパーバック/銀座の本屋さん/「のたり松太郎」の田中クンに最優秀助演賞をおくろう/こんなもんでよかんべイズム―がつくった講談社の中年ポパイ『HOT DOG PRESS』/もう見ることができないマボロシの名作雑誌/雑誌のイノチ/中野の古本屋/「しのび姫」が大好きだ

「本ばかり読んでいる人生は△である」…エッセイ風評論。本書の20%くらい。
文庫本をテストする/読み方の研究/『フジ三太郎』は新聞マンガ界の恥だ!/ブタ的編集人たちが作る金色のブタ的婦人雑誌/ゴキブリ雑誌を踏みつぶせ!

「雑誌についてとにかくいろんなことを言いたい」…各雑誌批評。本書の20%くらい。
其の一
 ぴあ/平凡パンチ/PHP/ビックリハウス/宝島/ポパイ/ウィークエンドスーパー/プロレス/写楽/遊/選抜面白雑誌オーダー・フィナーレ編
 其の二
 はじめに①/はじめに②/月刊フルハウス/暮しの手帖/週刊読売/PHP/家庭画報/幼稚園/小説現代その他/クロワッサン/季刊読書手帖/PLAYBOY/写楽/岳人/銀花/ブルータス/芸術生活/壮快/BOMB/微笑/発売日について/びわの実学校/月刊就職ジャーナル/食食食/家の光/スタジオ・ボイス/ビッグトゥモロー
「あとがき」なのだ/文庫本のためのあとがき

表題作になっているし、「もだえ苦しむ…味噌蔵」は強烈な印象だったのでこれがメインと思っていたがその記憶は間違っていたのだなあ。
本書の初出は「本の雑誌」が中心だが、「噂の真相」や他媒体に書かれたものも収録されている。
電子版には例のごとくホームページから目黒さんと椎名さんの対談記事転載。
また、電子書籍あとがきも有り。