2014/11/11

アジア おいしい話

アジア おいしい話 ちくま文庫
筑摩書房 (2013-10-04)
売り上げランキング: 35,154
■平松洋子
2004年8月ちくま文庫版。現在絶版。1996年に晶文社から出た単行本『アジアの美味しい道具たち』を改題したもの。
古本で購入するか、kindleの電子版で購入するか(まあ図書館で借りるという手もあるが)。
わたくしはkindle voyage購入記念すべき第1冊めとして本書を選んだ。

読みながらまず思ったことは「写真が欲しい!」だってアジアのいろんな珍しかったり面白かったり使い勝手が良かったりする道具が平松さんの好き好きオーラ全開で紹介されているエッセイ集なのに写真がひとつも無いんだもの。
これは電子版だから割愛されたというのもあるけれど、もともと写真ではなく挿し絵だったうえ(あとがきで判明)、絵の点数自体少なかったらしい(amazonのちくま文庫版へのレビューで判明)。晶文社版は挿し絵どうだったんだろう…。

平松さんの文章は「古い単行本ベースだから、どうかな?絶版になってるってことはあんまりよくないのかしら」と危ぶんでいたのだけれどまったくの杞憂。いろんな国の食文化と密接に関わっている台所道具たちを生き生きと描いてあり、とても面白かった。
また「何故アジアなのか」が文庫版あとがきに書かれていて、それが平松さんファンになって以来関心の的だったので、非常に興味深かった。同じ「ものを食べる」ことなのに、国によってマナーも方法も違ったり、同じところがあったり、そういうのにわくわくするのってとっても大事だ。平松さんは異文化に敬意とたっぷりの好奇心を持って積極的に突き進んでいくとっても食いしん坊さんで、そこが素敵だな。
流石に韓国で犬鍋を食べる機会があったときは大変だったみたいだ。わたしは絶対に食べたくないが、味としてはおいしかったそうだ。まあだからこそそういう文化が続くわけだろうが……でもやっぱりイヤだ。
ココナッツを搾る文化もあるけど若い人は店で買ってくるのが増えてたり、キムチをつくらない韓国家庭が少なくなかったり、石鍋は重いから嫌だという意見があったり、……やっぱり文化って残そうと思わないとどんどん楽なほうに生活は流れていくから、日本とおんなじなんだなあと思った。
なお、解説は酒井順子だけど電子版では割愛されている。600円もするのに削りすぎじゃないか!

読後、気になった道具をググってみたけど、ぱっとそれらしき物が出てくるケースはイイけどそうじゃないのも結構……「ピントー」はインドの女優フリーダ・ピントーの情報がズラッと出てくる。「弁当箱 ピントー」にしたらようやくヒット。
「タイ コイ」で検索したらまず鯉が出てくる。「タイ すり鉢 大理石」で検索したら「クロック」が出てくる。まあ一緒のモノということなのかね。呼び方違うだけで。
「ジャティ スパイスボックス」なんて全然ダメで「ジャティの木」でいろいろ見たらどうもジャティって要するにチーク材のことなのかな…。
うわーん、日置さんの写真が欲しかったよう! 

目次
タイ
 ココナッツを搾る(アルミの小ザル)/タイ鍋で、パスタ(両手鍋)/目からウロコが落ちまくる(フライ返し)/田んぼのなかの重箱(ピントー)/タイ米の炊き方指南(クラトゥック・カオ)/サンカンペン村から(竹の盆)/幸せの石の音(クロック)/トンビが鷹を生んだ話(素焼き土鍋)/はさみ打ちの名人芸(竹串)/黒い鉢のなかの功徳(バアツ)
※アジアで覚えた、あの料理1 :裏通りの食堂で食べた味がなつかしくて
干し豚肉の香り焼き/ラープ・イサーン

インドネシア
 椰子の実ひとつ(ココナッツの殻のしゃもじ)/竹で送る風(竹のうちわ)/ジャティにひと目惚れ(スパイスボックス)/日暮れてなお、道遠し(チョベック)
※アジアで覚えた、あの料理2 :おいしくて便利なたれが、いろいろ
 サンバル/ヌク・チャム

韓国・朝鮮
 汁かけごはんのお楽しみ(トゥッペギ)/台所のお守り(チョリ)/キムチの匂い(キムチ用ステンレス容器)/萩の小枝のうえの禁忌(チェバン)/白い酒が揺れる(パガジ)/解放記念日の冷麺(ククストゥル)/「重さ」のハードル(石鍋)/お膳のうえのモンドリアン(ポジャギ)/混ぜて、混ぜて、また混ぜて(チョッカラッとスッカラッ)/女ひとり食べる焼き肉は(飯器)
※アジアで覚えた、あの料理3 :いつのまにか唐辛子のおいしさに、やみつき
 ピビム麺/豚肉と白菜キムチの鍋

インド
 地獄の闇鍋(マサラ・ダヴァ)/小麦粉はしみじみおいしい(タヴァとバトゥーラ)/「食べ方が要求する」食器(ターリー)
※アジアで覚えた、あの料理4 :家のなかいっぱい、スパイスの香り
 じゃがいものサブジ/キーマカレー

ベトナム
 ヌクマムの泉(コイ)/先を急ぐ包丁(せん切り包丁)/「鬼おろし」とモダンデザイン(おろし金)/紙のごはんにぴったり(丸盆)/楊枝を使う恥、使わぬ恥(楊子)/道具の行く末(ココナッツ削り器)/バゲットをサイゴンで(コーヒーフィルター)/恋しやバナナの葉(バナナの葉)/今朝の買い出しは(買いものかご)
※アジアで覚えた、あの料理5 :どこの国でも、お母さんの味が一番だから
 牛肉とパイナップル炒めのっけごはん/カレー風味の焼き鶏
 
中国、台湾
 新宿発、香港経由、銀座着(飯架)/魚に梅干し(魚鍋)/おかずは勝手に(公勺)/ヨーロッパから廻り道(カトラリーボックス)/すっきりいこう(棕櫚のはけ)/麺棒一本、晒しに巻いて(麺棒)/竹筒事件の教訓(竹筒)/雲南の秘具(汽鍋)/フカヒレ料理の助っ人(編竹)/霞の向こう側(火鍋子)/粉をこねる(手)/たったひとつ(アルミのボウル)

おいしさの理由――あとがきにかえて/文庫版あとがき