2014/09/20

本屋さんのアンソロジー

本屋さんのアンソロジー (光文社文庫)
大崎 梢
光文社 (2014-08-07)
売り上げランキング: 15,923

■大崎梢リクエスト
いままで読んだことのあるアンソロジーというのは既に書かれている作品を編者が集めてくるというものだったが、この企画はまず企画ありきで各作家にテーマをリクエストして書いてもらう、というものらしい。最後のほうに載っている初出によれば「週刊宝石」に大崎さんがまずトップバッターで書かれ、毎月1篇ずつ掲載された後、単行本になった。本書はその文庫版だが、1年ちょっとで文庫化されている、早いなー。
10篇所収。全部ミステリー風味。
そして新刊書店シバリ(「あとがき」参照)。素晴らしい!
「本屋の小説」と言ってもやっぱり古本屋さんが書きやすいのか多いんだよね、あと図書館とか。そこをあえて「新刊書店限定」とした大崎さん、グッジョブ!
この本のおかげで初めて読んだ作家さんがなんと6人もいて、そのうち2名さんは略歴の代表作を見ても全然知らないひとだった。狭い範囲しか読んでいないからなあ……。
でも全部面白かった!好みでいろいろあって、を付けさせてもらったけど、シリーズ化してほしいのがいくつもあって。

本と謎の日々(有栖川有栖) ★★★★
店長さんがキャラ立ちしていて地味だけどリアルな名探偵さが良い。小さな謎をちりばめる手腕もさすが有栖川有栖!ふつうにシリーズにありそう。

国会図書館のボルト(坂木司) ★★★
なんでこのタイトル?と思ったらそういうことか。万引き犯が全然反省していないのが嫌だなあ。

夫のお弁当箱に石をつめた奥さんの話(門井慶喜) ★★
初。すごいタイトルだ。この話の「解答」はわたしも好きなので出題時点ですぐピンと来たが、でもあれは女性作家だからなあ。男性目線だとやっぱり緑雨のような考え方がメジャーなんだろうか。っていうかやっぱ石とかダメだよ…。

モブ君(乾ルカ) ★★
初。他人を見て「モブ」とあだ名をつけるなんてどうかとは思うが、本屋の話としてはよく出来ていた。

ロバのサイン会(吉野万理子) ★★★
初。「ボク」という一人称に最初拒否反応を起こしかけたがロバ君なら仕方ないね!出版業界もせちがらいなあ。夢のある話に仕上げてあって救いがある。

彼女のいたカフェ(誉田哲也) ★★★
同性でこういう感情ってよくわからないけど、まあ男性目線だし。終盤の展開の爽快さがこの著者の持ち味なのかな、と思った。書店内にカフェがあって、日本各地に店があるってジュンク堂書店を想定したお話なのかな。

ショップtoショップ(大崎梢) ★★
後味悪し。それにやられた側の高校生のキャラもちょっとつかみにくい。万引きってほんと嫌!

7冊で海を越えられる(似鳥鶏) ★★
初めて読んだけど、文体とかノリとかサボリ常習犯の店長にしっかり者のバイト君とか面白かった。謎解きはまあ、ちょっと苦しいかな?本棚に他の本と一緒に仕舞っちゃったら終わりだよねー。この毒舌店長さん素敵。シリーズ化してほしいかも。

なつかしいひと(宮下奈都) ★★★★★
初めて読んだけどこういうお話を書かれるひとだったのか!ほんのり温かく心に沁みる、いいファンタジーだ。本好きの気持ちもよく伝わってくる。「男むき女むき」は確かにあるなあ。それを破るのも楽しいんだけど。重松清は上手いよね確かに。泣かされるから最近は敬遠してるんだけど。

空の上、空の下(飛鳥井千砂) ★★★★
初。あら、なんてロマンチックなドリーム展開。初めて読んだけど『タイニー・タイニー・ハッピー』のひとと知って納得。空港の本屋さんの気持ちってそうなのかあ。本好きも旅行のついでに行きますよ。あと、売れてる作家のは別に自分が読まなくても、とか思っちゃう心理はよくわかったけど、最後の方で主人公がその考えを改めるというのもふーんと思った。

総論。
万引きはやっぱり絶対に絶対にダメ!っていうか窃盗だし。犯罪だし。遊びとか嫌がらせとか小遣い稼ぎ感覚で罪悪感も無しにやるっていうのはなんでなのかなあ。わからん。
本屋さんも本屋好きのお客さんもみんな真剣に怒ってるんだよね、っていうことをしみじみ感じた。