2014/08/22

タクアンの丸かじり

タクアンの丸かじり (文春文庫)
東海林 さだお
文藝春秋
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■東海林さだお
丸かじりシリーズの文春文庫最新刊(『ゆで卵の丸かじり』(単行本2011年4月/文庫本2014年7月)を読んで、「もっと昔の若いときに書かれたものを読んでみたい」と思って大きな書店で棚にあったいちばん古いナンバーのがこれ「タクアン」だった。
(これの前後軒並み絶版になっているみたいなんだけど、何故かこれだけ残っている、どうしてだろう)。
「週刊朝日」連載「あれも食いたいこれも食いたい」1990年8月~1991年4月連載分を掲載で、単行本は1991年10月刊、文庫1997年4月刊だ。
2011年から1991年は20年前。
東海林さんは1937年生まれなので、74歳と54歳の違い。
読んでみたら最新版とほとんど雰囲気というか読んだ印象は変わらなかった。つまり著者が年齢を重ねたからああいう感じになったわけではなくて、もともとこーゆーひとなんだろうな、あるいは50過ぎたら人間個性はもう固まっているということかな。

それにしても地味な内容である。総合的に面白かったけど。
ウィキペディアによれば、【バブル景気は、景気動向指数上は、1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月までの51か月間に日本で起こった資産価格の上昇と好景気、およびそれに付随して起こった社会現象とされる。
とあるから、この連載はまさにバブル末期、崩壊ギリギリくらいの頃に書かれたわけで、まだ世間は「ヒューッ」って盛り上がっていたんだと思うんだけど、そういう空気がほとんど伝わってこない。あえて探せばホテルのお昼で1万円のバイキング、吉兆のやはり1万円のお弁当を食べていることかな?
年齢にも景気にも左右されない、そういうところがこのシリーズが長く続いていることの理由のひとつなのかも知れないなと思った次第。

恋人同士を指す言葉としていまは「カップル」が主流かなと思うのだが、この本の中では「ツーショット」というのが比較的前半に、「アベック」というのが比較的終盤に出てきた。時代だなあ。「ツーショット」というのはググってみるとウィキペディアにいくつかの意味が挙げられているが、本書で使われているのは「2」の意味でだろう。
1.ツーショット (撮影技術) - 二人の人物を同一の画面におさめるクロースアップのこと。
2.男女カップルを指したり男女が二人きりになる、デートするという意味の俗語。1988年頃、とんねるずがテレビ番組『ねるとん紅鯨団』で1.の意で用いたことから誤用が広まり、『現代用語の基礎知識1990年版』に若者用語として掲載された。

ねるとんだったのかー。ねるとん観たことないけど。
ついでに「アベック」もウィキペディアから引くと、
・avec - 「と一緒に」を意味するフランス語の前置詞。英語の "with" に相当。
・一組の男女を意味する言葉。かつて日本で頻繁に用いられた和製フランス語。カップルを参照。

フランス語から来てたのかー。

そのほか、時の首相が海部さんだったり、「おどるポンポコリン」が出てきたり、20年前だなあというのがちょこちょこある。
面白く読んだのは、たくあんを漬ける過程→たくあん漬けあわや失敗か?→その後どうやら無事に漬かりました、の3回。初期投資に随分モノイリなんデスな。
あと、ラーメン屋が薄味で生姜味でまずかったけど全部食べちゃったの回。
お漬物をお新香と言わないので、ふーんと思った。意味は分かるけど自分では使わない言葉だ。わたしはお新香食べる派。

テーマといい文章といい素晴らしいなと思ったのは新宿西口の鯨カツを売りにする店の話。この話だけ都合3回読んだ。
この店の2階が良い、という話なのだが、よくある1階に厨房があって2階には料理だけミニエレベータ?みたいなので上げるという方式。「ブー」というブザー音が鳴ると1階に聞こえるわけでもないのに必ず「おー」と返事をするおじいさんとか、後に注文した天ぷら定食が先にくる仕組みなので鯨カツの客に「ちゃんといま揚げてますからね」と言うおじさんとか、ずっと寝ている飼い猫とか、いいなあ。このお店、まだあるのかなあ。