2014/08/16

ゴースト・ヒーロー

ゴースト・ヒーロー (創元推理文庫)
S・J・ローザン
東京創元社
売り上げランキング: 8,800

■S・J・ローザン 翻訳:直良和美
リディア・チン&ビル・スミス・シリーズ第11弾。
装画もお馴染みの朝倉めぐみ。

第1弾から楽しんで読んできている大ファンのシリーズであるが、第10弾がリディアがずっと「囚われのお姫様」だったので正直つまらなかったので、第11弾はどうかなあと少々危ぶみながら読みはじめたのだがそれは杞憂だった。
面白かった~!!
しかも最初から最後まで。完璧。

今回はリディアが主役の番。
天安門事件で亡くなったはずの中国人画家の新作が出てきた、という噂の真偽を確かめてほしい、というわりと大人しめの依頼に思われたが、調べていくといろんな事実?が出てきて……。

★注意
以下、ネタバレはできるだけしていないつもりですが、ミステリーなので、未読の方にはスルーされることを推奨いたします。



いろんな仕掛けやどんでん返し?があって、きちんと練られたスジで伏線の回収も見事にばっちり美しく、最後まで素晴らしい。しかもそれが心情的にもちゃんと丁寧に追ってあるから説得力があるんだよね。やっぱり、ミステリーはこうでなくっちゃ!

今回はビルの知人で美術品専門の私立探偵という新キャラ、ジャック・リーが登場する。彼はこのあいだ出た短篇集の中で既に登場しているということだがそんなの覚えてないよ……。
でもこの彼がハンサム(だと書いてある)で、頭の回転も素晴らしく、しかもセンスがよくておしゃれで性格も明るくてユーモアがあるとっても好男子!
おまけに、リディアと同じ中国系(彼は親世代からアメリカ人なのでリディアよりさらにアメリカ人に近いんだけど)。これは、リディアたちは気にしないんだけど、彼女のお母様にとってはポイントが高いんだよね、少なくとも白人のアメリカ人のビルよりは。
あービル、リディアに紹介したくなかっただろうなあ(ニヤニヤ)、なぁんて邪推しちゃったりね。
彼のおかげもあっただろうけど、ユーモラスなシーンがちょこちょこ挟んであり、全体的に明るい雰囲気のお話だったので、すごく楽しんでわくわくしながら読めた。悪い奴には因果応報!なのもすっきり出来たし。ここまで回収する?っていうくらい問題点を次々に解決していくさまには手に汗握りつつ静かに感動。おお、目先の利益につられていなくて素晴らしいぞ。
インターネットで誰でも検索して調べるのが当たり前になっている時代ならではの動きが面白かった。リディアの親戚のライナスはコンピューター・セキュリティー会社の経営者、と書いてあるけどまあ「ハッカー」なんだろう、優秀な。このライナスが大活躍! 調べられることを前提としていろいろホームページとかソーシャル・サービスとかに細工して「情報」を作っちゃう。逆に、ネットで調べただけでわかった気になると危険なんだなあ、なんて思ってしまったり。

そういえば今回は殺人は無かった。銃撃はあったしギャングも出てきたが。天安門事件が絡んでいたので「凄惨なシーンが無かった」とはとても思えないけど…。
ビルとリディアの甘いシーンもほぼ無かったなあ。いつもの恋心をまぶした(?)かけあいトークはあったけど、進展無し。
ジャック・リーがとってもナイスなキャラだったので、今回だけで前線突破しようとしてあっさり敗れて消えてしまうのは惜しいなあ、と思っていたのでそういう展開にならなくてよかった。準レギュラー化希望! 当て馬大好き!(ヒドイ)。
イヤだって、ジャック・リーはリディアにすごくお似合いね、とは思うけどなんせシリーズ11作にわたって忍耐強く待ち続けているビルのことを思うとやっぱり彼には幸せになってほしいと思うし……。でもリディアもジャック・リーは気になるみたいだ、いったいどうなるんだろう、萌える! 素敵! ラブロマンスはこうでなくっちゃ!(違)

ディリス賞受賞作。