2014/08/10

冥途・旅順入城式 【再読】

冥途・旅順入城式 (岩波文庫)
内田 百けん
岩波書店
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■内田百閒
『冥途』(稲門堂書店、1922年)という本と『旅順入城式』(岩波書店、1934年)という本が1冊にまとまった文庫。
『冥途』は18篇、『旅順』は29篇から成る。

このあいだなんだったかで(ちくまの解説かな?)小川洋子が内田百閒の文学は「土手」がキーワードであり、岡山ならではみたいなことを書いてらして、「そういえば、土手がよく出てくる!」と膝を打ったものだが、今回本書を読み返しているとやはり「土手」が効果的に使われてるなあと感心した。
最初の短篇「花火」も土手を歩いているシーンから始まる。

特に気になった作品について感想。
『冥途』
「山東京伝」実在のひとの弟子になっている、という設定がすんごい、なんだかリアルに夢っぽくてイイ。
「尽頭子」窮地に陥ったところをぎりぎりの嘘で云いぬけようとするところとか夢っぽいなあ。
「件」予言をすると云われてもなにも浮かんでこないからといって適当な予言をしないところがリアルに夢っぽい。
「流木」お金を拾って警察に届けようとするけれどもいろいろあって「泥棒泥棒」とか呼ばれるに至る経緯がリアルに(ry
「短夜」これは昔「まんが日本昔ばなし」の絵本で読んだ「かみそり狐」と同じ内容だということに遅まきながら思い至った。
「石畳」前のひとの作法を覚えていなくて大勢の前でそれをやらないといけないとかリア(ry
「波止場」この不条理さがわけわからんのだけど妙に説得力がある展開というかやっぱり夢にありそうなんだよなあ。
「豹」何故か自分だけが追いかけられるというのが本当に夢にありがちなんだけど最後のオチが想像外というかびっくり。
『旅順入城式』
「昇天」これは夢とかじゃなく普通の小説としてしみじみ味わい深い。
「山高帽子」長いという字を使った言葉遊びの手紙が面白い。芥川龍之介がモデルと思われる人物が登場するのが非常に興味深い。狂気の話。芥川は狂気は遺伝すると思って恐れていたんだよね……。
「影」これはホラーっぽい。怖いのは対象ではなくて語り手だというのが面白い。続きを読みたくなる強烈な余韻。
「映像」これも怖い話。神経衰弱かな、とも読めるんだけど。
「猫」映像の主人公の続きみたいな、自分の頭の中でどんどん追い詰めて行ってるよなあ。
「狭莚」雷獣(正体は鼬?)をめぐる顛末がこれは実体験なのかなあと思う、昔の子どもにありそうだよなあ。
「先行者」このタイトルで何かと思ったら「先を行く者」なんだなあ文字通り。怖がっているんだけど、怖いかな?
「秋陽炎」このお坊さんはなんだったんだろうか。
「蘭陵王入陣式」これを舞う主人公って百閒先生っぽい(『阿房列車』からのイメージ)。
「木蓮」こういう話で、木蓮が効果として使われているのが新鮮で、ふーんと思った。