2014/07/26

帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ

帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。 (文春文庫)
高山 なおみ
文藝春秋
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■高山なおみ
初・高山なおみ。
(雑誌の連載は1回分だけ既読)。
本屋で料理関係のコーナーをうろうろしているとしょっちゅう著作がお目にかかるので以前から気にはなっていたんだけど「とりあえず、いまの料理エッセイのメインは平松さん」という気持ちだったので後回しになっていた。
そのへんがだいたい頭の中の整理が一区切りついたので。

本書は、雑誌「CUT」にて1996年11月号から2001年1月号まで連載していたコラムとレシピを一冊にまとめたもので、ロッキング・オン社から2001年4月に単行本として上梓されたものが2009年4月に文庫化したもの。

以前から「印象的なタイトルと素敵な表紙写真だな」と思って見ていた。角田光代『これからは歩くのだ』を連想する。
写真は日置(武晴)さんと判明し、超納得!
表紙と、後ろのほうの口絵できれいなカラー写真を見ることができる。お茶の葉がふよふよしていて鮮やか、金魚みたいだ。

そして実際中身を読んでもなんとなく初期の角田さんと似ていると云えなくもない?とか思ってしまったんだがどうだろう。
無国籍な感じ、いつも旅人のような(どことなくバックパッカー的な)、夢の話と現実がごっちゃになって不思議な、精神と肉体がふわふわ不安定にさまよっているかのような。でも意志は強く、芯も強いぞ、みたいなイメージ。
二十代後半から三十代のような若者っぽい内容だなあと(つまり社会的立場が自由な感じ、定まっていない、所帯じみていない感じ)思ったのだが調べてみたら著者は1958年(昭和33年)生まれで、つまり書かれたのは38歳~43歳の頃ということになる。

料理のエッセイかと思っていたら、最初のプロローグでお父様の入院しているお見舞いのときに食べたお姉さま手製のお弁当(地に足の着いた生活をうかがわせる美味しそうな飾らないお弁当、忙しい中ぱぱっと作って詰めて来られたのだろう)のほかはほとんど料理が出て来なくて、その代わり1つ1つの最後に「 」でくくった料理名が書いてある、これはこの日にその料理を作ったよということかなと思って読んで行って途中でぱらぱらランダムに読みだしたときに巻末に「 」料理のレシピが載っていることに気付いて(カラー口絵はそのうちのいくつか)「こういうスタイルの本は初めてかも!」とびっくりしたり楽しくなったり。

とりあえずエッセイを全部読んでから、レシピをまとめて読んで、またその該当エッセイに戻って読み直したりした。お料理は派手さや華やかさはあまりなくてお店のメニューには無さそうな、その日の作り手の気分でこしらえた、っていう無造作感というかワイルドというかが満載。ごはんに木綿豆腐乗っけちゃう混ぜご飯とかこれって主婦の昼下り、「ひとりだし簡単に残り物で済ませちゃおう」みたいだなあ。かと思えば桜の塩漬け使ったり、スパイスがわたしが使ったことの無いような、そのへんの田舎のスーパーに売ってるのかしらっていうのがさらりと出てきたり、ケーキの粉ふるいを泡だて器で代用しちゃったり、鶏だしを3時間煮込むのが「落ち込んだときのスープ」だったりしてああ煮込むのって落ち着くよな……とか、ほんとレシピ読んでるだけで想像が広がるというか面白い!

どういう方なのかなあと読みながら気になったのでググってみたら、『静岡県生まれ。東京・吉祥寺にある「諸国空想料理店kuu kuu」のシェフを経て料理家に。』つまりプロのシェフさんなのだ。そして1958年生まれということは平松さんと同い年!
ウィキペディアに記事が無かった代わりに、ご自身のホームページがあって(ふくう堂書店)現在も現役で更新されている模様。

帯はよしもとばなななんだけど、本文中にも「ばななさん」の家に遊びに行く話があって、犬君たちがちょー・らぶりーだった。犬いいなあ。