2014/07/22

ねにもつタイプ 【再読】

ねにもつタイプ
ねにもつタイプ
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岸本 佐知子
筑摩書房
売り上げランキング: 344,933

■岸本佐知子
続けて2007年1月刊の第2エッセイ集を読む。安定の面白さ。

目次
ニグのこと/マシン/星人/馬鹿と高いところ/じんかん/△△山の思い出/ゾンビ町の顛末/郵便局にて/ぜっこうまる/ニュー・ビジネス/くだ/奥の小部屋/フェアリーランドの陰謀/日記より/お隣さん/ホッホグルグル問題/「毎日がエブリディ」/疑惑の髪型/かげもかたちも/夏の思い出/目玉遊び/一度きりの文通/戦記/リスボンの路面電車/Don't Dream/Watch Your Step/黄色い丸の中/作法/心の準備/生きる/裏五輪/とりあえず普通に/床下せんべい/むしゃくしゃして/ゴンズイ玉/べぼや橋を渡って/住民録/夏の逆襲/十五光年/西太后の玉/さいきんのわたくし/マイ富士/部屋のイド/グルメ・エッセイ/かわいいベイビー/難問/アイ・スパイ/ある夜の思い出
あとがき


書き写していて気付いたけどこのひとは「思い出」がよく出てくるな。第一エッセイでは「思ひ出」1点だった気がするが、第2エッセイでは3つもタイトルについている。というかまあ、内容も「子どもの頃こういうことを考えている変な子だった」ネタが多い。

まあ確かに少々変わっているお子さん(&大人になってからの思考)みたいなんだけど、中高一貫教育の女子学院卒から、上智大学卒業してサントリーに入社、ご本人いわく「会社員に向いていなかった」らしく、6年半で退社後は翻訳家として独立、という経歴を見る限り育ちの良いお嬢様って感じだよなあ。品も知性も兼ね備えた常識のあるかたが書くこういう内容だからこそ読者も安心して読んでいられるというか。例えばおんなじ内容でもどこのどういうひとが書いたがいっさいわからない個人ブログの日記がこの内容だったら「現実と空想の区別のついていないあぶないひと」とかそういう判断をされてしまってもおかしくない。
「翻訳家の岸本さんが書いた本」だから、成立しているのだ。
それにしても翻訳ネタがほっとんど無い。語学ネタとか言葉ネタとか、翻訳家が書いたエッセイってそういうのが言葉の端々によく出てくるんだけど……。

特に好きだったりユニークだと感じたものについてごく簡単に。
「△△山の」はその夢の発想が素敵、「ゾンビ町」は星新一のブラック・ショートショート風にもなりそう、「くだ」は幼いころの入院模様をよく覚えてていい、「日記」は面白い、「お隣さん」は国会図書館について知れて興味深い、「毎日が」はこの形式が面白い、「疑惑の」はちょんまげは確かにな、と共感、「かげもかたちも」は通勤共感、「一度きりの」は抒情があって素敵、「リスボンの」はまさか穴でくるとは、「とりあえず」はサントリーの当時の雰囲気が興味深い、「床下」はすべて「うん」で答えるお母様が印象的、「住民録」は変で良いなあ、「アイ・スパイ」は幼稚園児の視点が妙にリアル(わたしはこういう子どもでは無かったが)。

装丁はクラフト・エヴィング商會。

現在は文庫版が出ている↓

ねにもつタイプ (ちくま文庫)
岸本 佐知子
筑摩書房
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