2014/07/19

夕子ちゃんの近道 【再々読】

夕子ちゃんの近道
夕子ちゃんの近道
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長嶋 有
新潮社
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■長嶋有
就寝前のくつろぎタイムにここ数日少しずつ読みなおした。
どういうスジの話かは覚えているので、安心してその良質の文章世界にひたれる楽しいひとときである。眠たくなったらそこで「つづきはまたあした」。

この話の主人公はどうしてだかはわからないままだけど、定住している場所はあるんだけどそこから離れて、西洋アンティークショップ(というか古道具屋の雰囲気も)・フラココ屋の2階の物入れみたいになっている部屋にしばらく住んでいる。仕事に行っている様子はなく、誰かに電話したりしているシーンもない。ふだんの生活の雑多な事柄から今は離れていたい、という心境の様子。中年期にぽっかり落ち込んでしまったモラトリアムといった感じ。

そこのところを追及する作品ではないので、こちらもそこには触れず、フラココ屋とそれに関わるひとびとのゆったりなごむ人間関係を味わう。大家さんの孫の姉妹は姉はしっかりしてるけど妹はマイペースだなあ、とか、瑞江さんの私生活はけっこう大変そうだけどこの話読んでるぶんの表面的には日々穏やかに暮らしてるようだなとか。

「女はペンキ塗りが好きなんだよ」は名言というか、あれ?男性は好きじゃないんだ?っていうか男女で分かれるタイプのことなのかな?
ちょっとしか出て来ないステレオのアンプを買いに来たお金持ち、面白いなあ、ああいうひと落語とかドラマにしかいないと思ってたけど著者のご実父がフラココ屋みたいな御商売だし、実際にあったのかな。

このお話に出てくるひとたちは明日できることは今日しない、というひとたちばかりのような気がする。あ、大家さん(八木さん)は違うかも知れないけど。
今日できることは明日にのばしたくない、という性質のわたしにはちょっとうらやましい。

現在は単行本は絶版なので↓文庫版でどうぞ。

夕子ちゃんの近道 (講談社文庫)
長嶋 有
講談社
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