2014/05/30

どくとるマンボウ途中下車 【再々読】

どくとるマンボウ途中下車 (中公文庫)
北 杜夫
中央公論新社 (2012-04-21)
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■北杜夫
1966年(昭和41)中央公論社刊。
目次
私は新幹線に乗る 私は旅立とうと思う 海猫の島 私はついに旅立つ じゃがたら文の島 習慣というもの アイスから汽車弁まで 山登りのこと カラコルムへの道 長い長い帰途 ケチと贅沢 沖縄のはずれの島 船の旅あれこれ 飛行機こわい さまざまな乗物と旅


旅行ものだけど、具体的な紀行文2,3割、ほかは旅にまつわる?思考&回想が芋づる式にずるずると脈絡なく書かれているので旅行記って感じはしない。けどこれはこれでのんびり北さんの回想を聞いている感じがして悪くない。テンションはちょっと低いかなあ。そもそも自分は旅行好きではないのだ、とか最初に宣言しておられるし、実際旅行に行ってもあんまり楽しそうじゃないし。
初めて自分で服を買ったのが大学上級生になってからで、青いズボンを買ったらシャツに色移りしてしまったとか、露店で時計を買ったら質が悪かったとか、毛布を買ったらそれも安物だったとか、つくづくお坊っちゃんというか。そのくせ古ーい下着とか行李にいつまでも残してあってヒマラヤにもそれを着ていくとか、なんだか昔のひとだなあ、と思う。というか、服装にかまわない男の人ってまあだいたい今もこんな感じかもね。ヒマラヤに行く前に靴を作るから寸法を測って送らないといけないだとか、青い布地(登山隊共通の)を送ってきてこれで各自でスーツをあつらえろと言われたとか「昭和40年ごろってそうだったんだー」という感じ。それともいまもこういうの普通にあるのかしら。靴はともかく、スーツはねえ、オーダーメイドってご大層だわね。
著者は斎藤茂吉の次男であるが、つまり文中に出てくる鰻丼を一度に2人前食べて子どもにはやらない父親があの茂吉なんだなあとか、「あたしはもうすぐ死にますから」とさもこの世の最後の楽しみにとばかり国内海外あっちこっちへ出かける旅行好きの母親が茂吉の妻なんだなあとか。なにげに妹さんが「お兄さま」と呼ばれるのでやっぱり育ちが違うなあと思う。
『どくとるマンボウ航海記』でちらっと出てきたガスピストルを警察に取り上げられる顛末が「警察ってこういうところにも網を張ってるんだなあ」という感じで何度読んでもふーんと思う。