2014/05/03

ねたあとに 【再読】

ねたあとに (朝日文庫)
ねたあとに (朝日文庫)
posted with amazlet at 14.05.02
長嶋 有
朝日新聞出版
売り上げランキング: 332,426

■長嶋有
『ジャージの二人』と同じく山荘を舞台とする小説、再読。
やはり面白く、いつまででも読んでいられるなあと思いながら堪能。

筒井康隆『小説の極意と掟』に反復があると読者は快感を覚えるものだと書いてあって、確かに同じフレーズが繰り返されたりすると(わかりやすいのは決まり文句だよね)「あっ」と思う、あれって著者からのプレゼント的な意味もあったのかあ、と印象に残った。お楽しみというか、ニヤリ(わかっていますぜ、と著者に頷きかける)感じだよね。

それを読んで以来、いろんな小説の「反復」が前より以上に気になるようになったのだけど、そう思って読むと作家さんて結構「仕込んで」おられる。
長嶋さんのこれもそうだったけど、先日再読した『佐渡の三人』にもあった。っていうか長嶋さんの場合、作品が違うけど同じキャラが名前を変えて出てくる、手塚治虫の漫画的な「あっ、また…」があるしね。それでそういうのを読むときはやっぱり楽しい。筒井先生の「反復」とはまた違った効果・意図があるように思うけど、でも「プレゼント」なのは一緒だ。

「ねたあとに」で反復はちょこちょこ細かいのはいくつかあったような気がするが、わかりやすいのは112~113頁と368~369頁あたり(文庫)。両方で久呂子さんが散歩に出て、落ちている枝を拾いながらぶらぶらし、帰りに山荘に来る客に出会って、枝を捨てて「こんにちは」と挨拶し、相手は「誰かにあったらそれをいわねば、そう決めていたかのような一声」を発する。

そういえば前回読んだとき久呂子さんは「クロコ」と読めるけどそれは人の名前としてはあんまりかなと思って「ヒロコ」さんと読んでいたんだけど、今回読み直して「ケイバ」のときの厩舎名が「クロコ厩舎」になっていたので前回はこれを読み流してしまったのかなあ。解説を読んでみても、やっぱり「クロコ=黒子」だよねこのひとは。

今回読んでしみじみとトモちゃんかわいいなあというか、著者が(先日読んだエッセイにも出てきた)年の離れた異母妹さんをとてもかわいがっておられることがよく伝わってきた。

「それはなんでしょう」は『問いのない答え』を読んだ後に読むとなんだかいろいろ考えちゃうね、最初はこういうふうだったんだ、それがああ変化したんだ、とか。ネットのツイッターが『ねたあとに』では無いしね。

それにしても虫が部屋の中にウロウロし、ネズミがしょっちゅう出没する……。自分には山荘暮らしは到底無理そうだなあ。