2014/04/28

いま教わりたい和食  銀座「馳走 啐啄」の仕事

いま教わりたい和食: 銀座「馳走 そっ啄」の仕事 (とんぼの本)
平松 洋子
新潮社
売り上げランキング: 90,040

■平松洋子
料理:西塚茂光
写真:日置武晴

平松洋子さんのとんぼの本は、以前、『一生ものの台所道具』というのを買ったことがあるのだが、いつもの台所道具に対するエッセイ本かと思ったら写真と道具紹介がメインで、しかも定番の包丁とか鍋とかの紹介だったから珍しさも無くて、まあこういうのを求めている方には需要があるんだろうけどなあ……という個人的にはイマイチな感想だったもので、今回の『教わりたい和食』のほうもネットで出版したのは知っていたんだけどなかなか食指が動かなかった。だって銀座の(おそらく一流の)和食屋さんなんて、たぶん一生ご縁が無いもの。見て、美味しそう~食べたい~と思ったってそうやすやすと行けるもんじゃなし、欲求不満になるだけじゃないの?と。

しかし散歩の途中に寄った小さな町の本屋さんでこれが置いてあって、「まあ、いちおう」と中身をパラパラ確かめてみたらあまりにもお料理の写真が美しくていっぺんに惚れてしまった。
ああ、写真は流石の日置さん!

銀座の和食店に行くことは無いけれど、
一流の料理人の料理を写真と素材だけ書いてあるこの本を見て素人が真似できるはずもないのだけれど、
そういう「実用」じゃないところでこの本はただただ目に鮮やかに迫るパワーがある。

3年間、平松さんが「馳走 啐啄」(そったく)に通って、季節ごとに海のものと山(野)のものの素材を選び、ひとつの素材につき5品ずつ作ってもらって、――――というスタイルで行われたものだそうだ。
雑誌「考える人」に2005年夏号から2008年春号に連載された「季節には味がある」に加筆したもの。

その素材を目次から書き写してみる。
 山菜 鯛 亀戸大根 蛤 白魚 筍
 鰻 茗荷 トマト 蛸 茄子 鯵
 里芋 鯖 きのこ 菱蟹 鮭 ずいき
 鴨 葱 白菜 なまこ 牡蠣 海苔

この本はレシピ本では無い。料理人・西塚さんの言葉として
「和食はレシピではないと思うんです」
「だしに頼りすぎてはいけない」
この2点が特に強調されていることからもこの本の意図は明らか。

なんていうか、和食って、素材を通して季節を味わうっていうか……真正面から見つめて受け取って、それを大事にいただく、そういう気持ちで作ることが大切なのかなってこの本を読んで感じた。それってけっこう難しいことだよね。っていうか、銀座の一流店が仕入れてくるものと、そのへんのスーパーで値段と相談しつつ買う安物とじゃあ全然素材が違うんじゃないのってひがみそうになるんだけど。まあでも、気持ちというか、姿勢は学びたいというか、理想を仰ぎ見ることも必要だろうし。

とにかくお料理の写真が綺麗でほれぼれして眺める。
文章を読んで、写真を眺めて。
最初は料理に目が行ったけど、二巡めはその器に注目して見つめたり。
まあ、どれもお皿やなんかが重複していないわ! 料理のコンセプトにぴったりの、なんて素敵な器たちでしょう…!
色の合わせ方とか、絶妙なんだよね。 

マンネリになりがちな家庭料理の、どこかでヒントくらいにはなる、かな?
西塚さん曰く、料理上手になるためのコツは、
「興味をもっておもしろがったもの勝ち。」だそう。

※本書にはレシピは載っていません。