2014/04/17

どちらとも言えません

どちらとも言えません (文春文庫)
奥田 英朗
文藝春秋 (2014-04-10)
売り上げランキング: 5,573

■奥田英朗
2009年2月~2011年3月頃「Number」に隔号連載されたエッセイというかスポーツコラム、2011年10月単行本刊の文庫化したもの。
単行本の装丁がいつもながらカッコ良くセンスが良くて、文庫も同じ写真を使ってくれてあってほっとした。
写真はArchive Photos/Getty Images.デザインは中川真吾さん。

軽い内容だとわかっていたので単行本購入をケチって文庫になるのを待ちわびて買ったのだがビバ・奥田英朗。面白かった! ただしやっぱ時事モノは同時期に雑誌連載で読むのが一番、無理でも単行本出版時くらいに読まないと新鮮味・臨場感に欠けるのはどうしようもなかった。
雰囲気としては『延長戦に入りました』に近いけど、あれより考察が深く渋くスルドクなっているような気がした。「面白いところに目をつけるな」という奇抜さよりは、「ほほう、なるほど、そういうことか」「へえー、そうだったんだ、知らなかった!」と教わることが多かったような。時にはなんとなくモヤモヤしていた感情にきちんと説明を付けてもらったり。それに、以前から言ってるけど奥田さんってサービス精神めっちゃ旺盛だから、笑わせてくれるんだよね。

わたしは特にスポーツ好きではないので詳しいことは知らないのだけど、それでも充分面白かった。逆に熱狂ファンじゃないから、冷静に、ちょっと引いた視線で分析してある奥田さんの説明に共感できるのかな。っていうか、スポーツについて語っているけど、社会全般として日本のマスコミの風潮とかにも話が及ぶから、わかりやすいのかも。日本人の芝生に対する貧相すぎる対応とかね。ほんと、公園に芝生ひいて「入るな」って意味わかんない。ジャイアント馬場さんが純粋に読書を楽しんでいらした、というエピソードも素晴らしい。そう、読書っていってもひとによって目的が違うんだよね、知識・教養の為とか実用的にする読書もあれば、ただ余暇の愉しみとしてするそれもある。本読まないひとにかぎって全部前者だと思ってるのがね、うっとうしいんだよな。

目次を書き写す。特に共感・面白かったものに★印。
PART1
スポーツにおける悪役の経済効果考。
プロ野球おやじの目に映ったJリーグ。
WBCでわかってしまったアメリカ式の行く末?
校歌好き早稲田大学は内輪で盛り上がる?
どれほど野球選手をリスペクトしているか。   ★
中年男子は昔日の雄姿にむせび泣く。
スポーツの階級と門外漢のジャパニーズ。  ★
広島新球場と日本人の芝生コンプレックス。  ★
プロ野球の監督には利権がいっぱい。
引退セレモニーはもういらない。  ★
スポーツチームはオーナーの道楽である。
いまこそ振り返る十二年前の恥ずかしい過去。
<<サッカーW杯狂想曲>>
改めて考える日本人サッカー不向き論。
根が深いスポーツの力関係。
サッカー、番狂わせゾーンの快楽
W杯でサッカー選手の顔を考える。
PART2
メダルの価値と五輪の大本営発表。  ★ 
用具はドーピング? ならば原点回帰を。  ★
結果待ち競技と観る者のジレンマ。
野球選手と名前の相性についての考察。  ★
嗚呼、花の運動部はどこへ行った。
我が国にもビート・ライターを。
ジャイアント馬場と柴田錬三郎。  ★
猛暑日と運動部の相性についての考察。
スポーツは報復合戦の宝庫なのである。
日本シリーズが国民的行事だった頃。
才能の配置は神様が決めるのだった。
”個性より基本”は日本人独特の価値観。  ★
スポーツにおける阿吽の呼吸について。  ★
スポーツの楽しみは、語る楽しみなり。