2014/04/10

青豆とうふ

青豆とうふ (新潮文庫)
安西 水丸 和田 誠
新潮社 (2011-06-26)
売り上げランキング: 23,143

■安西水丸・和田誠
当代きっての文章も書くイラストレーターふたりが交互に文章係と絵描き係をやったというなんとも楽しい企画本。内容しりとりになっている。
2003年9月講談社刊の単行本が2011年6月新潮文庫になったもの。
「青豆」というと『1Q84』(2009年5月)のヒロインの非常に印象的な苗字として記憶に鮮やかだが本書の名付け親はまさしくその村上春樹。安西さんが居酒屋で村上さんに連載のことを話し、「ひとつ、タイトルを……」と頼んで、ちょうどそのとき食べていたつまみが青豆豆腐だったところから付けられたんだそうだ。このエピソードについては和田さんのまえがき、安西さんのあとがき、文庫特典の解説?的おまけで村上さん自身と三度にわたって書かれていて、それぞれの書き方に人柄が出ていて面白い。
安西水丸や和田誠のイラストはあちこちで目にしていたけど、文章をまとまった形で読んだのははじめてだった。安西さんの経歴ってなんていうかバブリーというか、おしゃれの最先端って感じだなあ。電通勤務後ニューヨークで仕事して…とかカッコ良すぎるけど、イラスト見てる限りそんなキレキレのひとが描いたとはとても思えない力の抜け加減なんだよね。イラストレーターの仕事を見ていて思うけど、「絵がうまい」ってなんなんだろうなあ。デッサンとかが狂ってないとか正確だっていうのが重視される分野・場合もあるんだろうけど、そうじゃない評価基準っていうのが絶対あるよね。味っていうか、雰囲気っていうか、センスっていうか。
文章は気軽に読めるエッセイで、映画やアイビーファッションなどの話など。特に印象に残っているのは怪奇的体験(結局なんだったんだろうと気になる)、ファンレターの話(後年ご本人に会って手紙を見せられたというのがすごい)、寺山修司さんの話(腰の低い方だったんだなあ)など。取材の話で言ったことがめちゃくちゃ捻じ曲げられて伝えられるのが「ええっ」という感じなんだけど、そういうことって別に珍しいことでもなさそうに書かれているのでそういう面にも「ええっ」。いいのかそれで。
ちなみに和田さんは1936(昭和11)年生まれ、安西さんは1942(昭和17)年生まれで、つい先日(2014年3月19日)鬼籍に入られた。本書を購入して数日後の訃報だったので、非常に驚き残念に思った。あらためてご冥福をお祈りしたい。

以下目次(新潮社のHPからほぼコピペ)。
まえがき :和田誠
安西 ハゲの話
和田 ハゲの話→カツラ→編集長の伝説→取材の話
安西 取材の話→建築家→フランク・ロイド・ライト
和田 フランク・ロイド・ライト→映画の中の建築→ループタイ→アシモフ→カレル・チャペック
安西 カレル・チャペック→ロボット→理科室の人体模型
和田 理科室の人体模型→山口百恵→美空ひばり
安西 美空ひばり→似顔絵→スノードーム→ワールド・トレード・センター
和田 ワールド・トレード・センター→キングコング→初めてのNY→お小遣い
安西 お小遣い→よい子の会→GIキャップとアメリカ兵→英語向きの声→市原悦子
和田 市原悦子→昔観た舞台→来日したシナトラとビートルズ→寺山修司
安西 寺山修司→サラリーマン時代の失敗→芸の話
和田 芸の話→学生時代の歌
安西 学生時代の歌→予言→占い
和田 占い→怪奇的体験
安西 怪奇的体験→白い着物の女→騙された話
和田 騙された話→得な人柄→ニセモノ
安西 ニセモノ→京都好き嫌い→ファン
和田 ファン→ファンレター→淀川長治→ジェイムズ・ステュアート
安西 ジェイムズ・ステュアート→IVYファッション
和田 IVYファッション→ブルックス・ブラザーズ→マルクス兄弟→アルファベット順とアイウエオ順
安西 アルファベット順とアイウエオ順→カシオペア座→ニックネーム
和田 ニックネーム→和田違い→粋な計らい
安西 粋な計らい→食い逃げ→ローマ→映画で観た景色
和田 映画で観た景色→俳優の歳のとり方→ハゲの話
あとがき :安西水丸
『青豆とうふ』文庫版のおまけ 村上春樹