2014/03/27

創作の極意と掟

創作の極意と掟
創作の極意と掟
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筒井 康隆
講談社
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■筒井康隆
わたしは作家志望者ではないが、筒井康隆の文学論なら読まずにはいられない。
氏の作品は十代後半から二十代はじめくらいまで愛読していて、その後も常にチェックはしている(読まないことが多いんだけど。近作で既読では『ダンシング・ヴァニティ』が良かった)ので、いちおうファンのはしくれではあるのだが、それだけではない。
筒井康隆の作品が面白いのはもちろんなのだが、氏が他の作家の作品について解説などで論評しているのを読んで、その群を抜いた面白さに脱帽した。ふつうの書評と明らかに違い、作品の構造や目的、手段などについて作家ならではの視点で実に細かくわかりやすく解いてくれてあり、感心したのだ。

帯には、当代の売れっ子作家、町田康と伊坂幸太郎両氏のおべっかかと思うくらいの推薦コメントが刷られている。そして、【これは作家としての遺言である――。『文学部唯野教授』実践篇】の文字も。

実際通読してみての感想だが、『文学部唯野教授』よりもずっとわかりやすく易しく書いてくれてあったような気がする。たまに、他では見ないような難読熟語が出てきて語彙の豊かさに唸ることはあっても、内容そのものは平易な文章で、丁寧・親切である。

前衛ばりばりーの文章を常に最前線でかっ飛ばしておられる筒井康隆の文学論だけど、おもいのほか、穏やかでごく常識的なスタンスで、まあ小説ではないから比較するのも変なのだけど、『唯野教授』みたいなケレン味みたいなのも全然ない。奇をてらうとかそういうのもなくて、あれっと思うくらい物静かな調子に終始した。あの独特の癖のある文体とかじゃないしね。

【目次】(「BOOK」データベースより)
凄味/色気/揺蕩/破綻/濫觴/表題/迫力/展開/会話/語尾/省略/遅延/実験/意識/異化/薬物/逸脱/品格/電話/羅列/形容/細部/蘊蓄/連作/文体/人物/視点/妄想/諧謔/反復/幸福

目次だけで難しい熟語がいっぱいあるなあ。
巻末に、著者名や著作名の索引あり。
自作についても絡めて説明されているけど、他者の作品を紹介している箇所もたくさんあり、おお筒井先生小川洋子読んでらっしゃるのかとか、そういう楽しみもあるかも。っていうかすっごいたくさん読まれてるんで驚くほうが失礼なんだろうけど。ハルヒについても出てくるぞ。守備範囲広すぎ。

装幀・装画は山藤章二。ゴールデンコンビだ。
カバーを外した本体の紙への凝り方など、ニヤリとさせられる。