2013/06/06

ムーミン谷の夏まつり 【再読】

ムーミン谷の夏まつり (講談社文庫 や 16-4)
トーベ・ヤンソン
講談社
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■トーベ・ヤンソン 翻訳:下村隆一
「夏まつり」というタイトルから、さぞや楽しくわいわい準備をして、祭りで最高潮、という流れかと思ったら全然そういう話ではない。
初夏の美しいムーミン谷だったのに火山が噴火し、津波がおしよせてきて、ムーミン谷は水に浸かってしまう。ムーミンハウスも1階は水没。家具も食料も水の中。ここらへんのくだりは、お話が事態の深刻さのわりに呑気に書いてあって(2階の床をくり抜いて上からキッチンを眺めるときれいだとか、ムーミンがもぐってカップとか取りに行ってコーヒーを古い椅子を壊して火を熾してわかすだとか、非常時キャンプみたいなノリで書いてある)、そんなに悲しい感じじゃない。
また、そのあと、流れてきた劇場に移り住むんだけど(ムーミンたちは「劇場」という存在を知らなくて、変な家!と首をかしげつつ住む)、一時岸に流れ着いたときにムーミンとスノークのお嬢さんだけ木に移って寝ていたら夜の間に家が岸から流れて行ってしまって家族離れ離れになり、さらにそのあとミイが流れの中に落ちてしまって行方不明、とか状況だけ読んでいるとかなり大変なことになるのにムーミンパパもママもミムラねえさんもあんまり慌てなくて比較的冷静というか……。もちろん「どうしましょう!」「なんてこと!」的な悲しみはあるんですけどね、なんていうかものすごい信頼感というかポジティブシンキングで、でもどっかで元気にやってるわよ、そのうち絶対会えるから大丈夫、って信じてるらしいのです。で、実際そうなんですけどね。
劇場には劇場スタッフだった住人がいて、何故か最終的にはパパが脚本を書き、お芝居をすることになっている。

このお話では、スノークのお嬢さんが女の子たちでしゃべっているときにケンカになってしまい、「洋服を着ていないくせに!」と言われるシーンがあって、ムーミンシリーズでは動物とか妖精とか出てくるけどそういえば服を着る・着ないの区分けはどうなってるのかなあとか、なんでスノークのお嬢さんはあれだけおしゃれなのに服は着ないんだろうとか、それは服を着るのがふつうというこちらの考え方の押しつけでしかないよな、とかいろいろ考えました。
また、一人旅をしていたスナフキンが「するべからず」「べからず」ばかり言っている公園番にニョロニョロの種を撒いて仕返しするところが痛快で、だけどそのあとムーミンたちが犯人扱いされてつかまっちゃったり、公園にいた小さい子どもたち24人の世話をスナフキンがしなくちゃならなくなって途方に暮れたり、いろいろヤマやタニがあって面白かったです。

ところでちびのミイはムーミンたちより体の大きさが「小さい」とは思ってたけど、このお話を読んでいたらムーミンママの裁縫箱に隠れられたり、スナフキンの帽子に乗れたりするくらい、つまり子どもと抱っこ人形くらいのサイズ差があることが判明し、びっくり。せいぜいムーミンの胸くらいの背丈はあると思っていたんだけど。アニメでは、そうだったような気がするんですが。うーん?
ちなみにウィキペディアによるとスナフキンとミイは異父姉弟だそうですが、このお話では「前に会ったときは小さすぎて覚えていない」とか言ってるだけで姉弟らしい会話は無かったです。っていうかミイのほうがお姉さんとか、違和感ありまくりなんですけど……。原作とアニメの違いのせいかしら。