2013/06/05

ムーミン谷の仲間たち 【再読】

ムーミン谷の仲間たち (講談社文庫 や 16-3)
トーベ・ヤンソン
講談社
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■トーベ・ヤンソン 翻訳:山室静
短篇集。9つのお話。小さい子にも面白いかもしれないけど、少し世の中のことがわかりかけてから読むといっそう「深いなあ」という感じかな。

春のしらべ
いろんな束縛とか人の目とかが大嫌いなスナフキンがちょっとだけ情にほだされる話。スナフキンの人生観、考え方がよくわかります。
なお、スナフキンというのは英訳版ムーミン・シリーズから来ていて、原語ではSnusmumriken(スヌスムムリク)というそうです。発音が難しいから英訳に従ったそうです。

ぞっとする話
空想好きのホムサはそれを本当のことみたいに親に言って、「嘘をついてはいけません」と叱られ、ミイのおばあちゃんの家に逃げて行ってそこでミイと会ってオソロシイ話を聞かされ…。ミイのほうがうわ手でしたな。

この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ
タイトルのまま。マダムたちのお付き合いってこういうイメージですね。表面だけお上品に取り繕ってるの。「杞憂」という言葉の成り立ちとかもちょっと思い出してしまう、でもこういうひといそうだなあ。

世界でいちばんさいごの竜
ムーミントロールが小さな竜をつかまえる。だけどその竜はスナフキンになついてしまう…。まるで恋愛みたいな、複雑なオトコゴコロ。ショックだけど、それを受け止めるムーミンと、竜をさらっとスマートに手放してしまうスナフキンがうーん、すごいなあ。

しずかなのがすきなヘムレンさん
ヘムレンさんはずっと親類に手配された遊園地のキップ切りの仕事をしていたけれど、年金をもらったら静かに暮らしたい夢があった。いざその夢をかなえてみたがそこへ子どもたちがやってきて…。ちょっと、ミルハウザーの小説とか思い出しました。遊園地を造る!子どもたちの手で! 絵本にしたらきれいでしょうね。

目に見えない子
母親に嫌味ばかりいわれて心を痛め、とうとう目に見えなくなってしまった女の子がおしゃまさんにより助け出され、ムーミン屋敷に連れられてくる話。この子が最後に笑顔になって、よかった。

ニョロニョロのひみつ
パパのメランコリック。一歩間違えればパパ蒸発。

スニフとセドリックのこと
物に執着するスニフが大事な犬の人形(セドリック)を手放して後悔しているのをスナフキンがなぐさめようとするが…。スニフに比喩は通じないんだね。まだ小さいんだなあ。

もみの木
ムーミン一家は冬眠するので、「クリスマス」を知らなかったが、ある年、たたき起こされて「クリスマスがやってくるから大変」と言われ…。
「春のしらべ」にもこの話にも"はい虫″が出てくるけど、著者の描いた挿絵を見るととても同じ種族には見えない。前者は動物に似ていて、この話のはコロボックルに似ている。疑問に思って調べてみたら、公式サイトの「DATA」ページに【「knytt(クニット)と、kryp(クリュープ)という二種類の生ものが「はい虫」と訳されている。】とあって、なるほどー。