2013/05/23

俳優パズル

俳優パズル (創元推理文庫)
パトリック・クェンティン
東京創元社
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■パトリック・クェンティン  翻訳:白須清美
ピーター・ダルース&アイリス・シリーズ第2作。
読む前からシリーズ最高傑作という評判だったので期待外れをおそれる気持ちが少々あったのだが、まったくの杞憂だった。とても面白いミステリーで、人物のキャラ立ちもはっきりしていて、前半のサスペンス→中盤からの人間模様→最後のミステリーの謎解きと、ずっと楽しめた。
劇場の火災により愛する妻を失ったつらさのあまりアルコール中毒になってしまい、前作では精神病院に入院していたピーターだったが、今回は職場復帰をする話。演劇のプロデューサーだった彼は、劇場で新しい芝居を興行し、その成功如何によって復帰が華々しく飾られるかどうかということなのだが、新人作家による素晴らしい脚本を得て、昔からの仕事仲間などにも恵まれ、なかなかの滑り出しとみえた。上演劇場がいわくつきのものに突然変更されるまでは……。

ミステリーなので、超常現象としか思えないようなホラーが出てきても「さて、これにどういう論理的な説明がつくのであろうか」と楽しんでしまえるので、こわがりの読み手には安心である(そして実際きっちり謎解きがあってブラボー)。

この作者の書くものは、実は2名で書かれていて、その組み合わせも変わったりしていて、だから時代によって変化していくことで有名らしいのだが、少なくともこのシリーズ第1,2作はユーモラスで古風だけど感覚的には現代でも十分通用する明るいミステリーで、好みドンピシャである。第1作だけと思っていたレンツ博士が出てきてびっくり、パジャマ着て寝る前に体操されるとか、普段の威厳とのギャップがかわいいというか。なんだか面白いなあ。
アイリスは第1作ではか弱い可憐な美人、という印象だったけど、健康を取り戻してみるととっても闊達で行動派のお嬢さんだったのね。ちょっとヘレン(クレイグ・ライス)を思い出したりした。まあ、あそこまで強烈にぶっとんではいないけど。

それにしても××××(いちおう伏字)は突然激高して暴力をふるって、そのあと自分でもなにをしたかわからないとか言って、絶対にこのひとは精神的におかしい、と思っていたのにその点は不問だった。実は狂っていたのはこっちだった!というオチがあると信じてたのになあ。うーむ。