2013/04/28

やりたいことは二度寝だけ

やりたいことは二度寝だけ
津村 記久子
講談社
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■津村記久子
このエッセイ集は、以前から書店で見かけて面白そうなタイトルだなと気にはなっていたのだがなんとなく保留していたところ、先に後から出た『ダメをみがく』をあっさり買ってしまい、それで著者についてもっと知りたくなった。最初に数ヶ月前よく見かけて迷っていた手近の書店にいざ買おうと決めて行ったらもう置いてなくて、某ショッピングモールの中の書店にはあったが第4刷だったので初版好きとしてはためらって、その後某大型書店に行ったらあっさり初版が置いてあったので喜びつつ購入したが、少し不思議にも思った。大きい本屋さんは最初の仕入れが多いということなんだろうけど。

2012年6月に出た本だが、内容は2009年に書かれたものが割合として最も多い。2009年といえば津村さんが芥川賞を受賞された年である。
中身は大きく4つのグループに分けられている。

Ⅰ 今週の検索
日経新聞夕刊に2009年7月7日~12月22日に週1回掲載されたもの。

Ⅱ まぬけな日々
朝日新聞夕刊(大阪版)に2009年4月3日~2010年3月5日に月1回掲載されたものと、雑誌「東京人」「ポンツーン」「新潮」「すばる」「野生時代」「文藝春秋」「文學界」に2005年~2010年に単発掲載されたもの。

Ⅲ まぬけな日々だが潤う
雑誌「群像」「文芸ポスト」「小説すばる」「別冊文藝春秋」「真夜中」「新刊展望」「J-novel」「野生時代」「一冊の本」「週刊朝日増刊」「Number」「すばる」に2005年~2010年に掲載されたもの。

Ⅳ 作家で会社員
雑誌「本」「文學界」「本の旅人」「yom yom」「群像」、東京新聞夕刊、未来研会報、産経新聞夕刊(大阪版)に2008年~2010年に掲載されたもの。

「Ⅱ」と「Ⅲ」で具体的に「潤い度」が違うかといわれたらよくわからない。とりあえず全部面白かった。それは興味深いという意味だったり、文字通り笑える・おかしみがあるという意味だったり、好ましいなあ、という意味だったりする。共感、はしたりしなかったり。例えばわたしはノートやゲームに耽溺しない。マスキングテープも最近雑貨屋とかで見かけるようになって可愛いなあとは思うが使い道が思いつかないので買ったことがない。養生テープは手で簡単に切れて便利なのでガムテの代わりに愛用しているがこれは趣旨が違うだろう。

特に反応した記事タイトルだけ列挙してみる。( )内はわたしのメモ。
「パン・アンド・ミー」(炭水化物がごちそう、という心境にはなったことないなあ)
「アッパッパーの狡猾」(いまアッパッパーなんて売ってる?と思って読んでいたらチュニックのことだった。これは笑った)
「個人的な歳時記」(「すべての行動を歳時記にのっとって生きている人」の話、は面白そうだから読みたい)
「多様さの肯定」(少数派はいろいろ無神経なひとに説明しなくちゃいけないんだよねーめんどくさいよねー)
「お茶屋と文筆業」(津村さんのスタイルがわかって面白かった)
「商店街の鑑賞」(天神橋筋商店街っていつもすごいと聞くけどやっぱりそうなのか、いつか行きたいと思いつつ)
「なんとなくの旅はつづく」(せっかく奈良に来てこれだけ観光してないって逆にすごい)
「本屋さんと話す楽しみ」(「やった、行ったと帰りの電車で手に汗を握っていた」って、なんかかわいいなーと思った。いいひとだ、津村さん)
「こんなはずではなかった」(正直な文章だなあ)
「あとがき」(この本は、とっても面白かった。確かに派手さはないけれど、地味かもしれないけれど、だからこそ本当に地味な生活を送っている自分には浸み込む感じがした)

この本を読んでいると何箇所も出てくるんだけれど、津村さんは裏紙でメモ帳を自分仕様にいろいろ考えて作っていて、それに小説のメモをたくさん書かれていて、すごく有意義な感じである。会社で事務やってると裏紙は大量に出るけど、せいぜい電話メモにしか使っていない。あの裏紙をこんなにも大切に、裏紙の種類とかも考えて再利用されているのかとなんだか立ち止まって「おー」と言いたくなるくらい感心した。そもそもパソコンを使うようになってから手書きのメモ自体ほとんど取らない人間にはなんだかもう「すごいなあ」という感じである。ちょっと見習ってみる? って小説書かないのにどう真似る? 買い物メモとか?

「やりたいことは二度寝だけ」というタイトルだから二度寝について、もしくは睡眠時間やなにかしらそれにまつわるテーマで書かれていたりするのかと思っていたのだが本編にそういうのは無く、「あとがき」でそれについての釈明が書かれていた。にしても何度かに分けて睡眠されるのは『ダメを磨く』にも出てきたけど、いっぺんにたっぷり寝たくならないのかなあ。