2013/01/06

なんらかの事情

なんらかの事情
なんらかの事情
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岸本 佐知子
筑摩書房
売り上げランキング: 596

■岸本佐知子
お取り置き本3冊目。2012年11月に出たもの。
気になる部分』『ねにもつタイプ』に続く、ファン待望のエッセイ第3弾!!である。

岸本さんの感性というのはなんだかとても不思議で、ともすれば「へんちくりん」なんだけど、でもなんかすっごく気になる、妙にざわざわする、そういう感触があるので、彼女が翻訳したものはいちおう気になってチェックする。そしてあまりにも「一筋縄ではいかなさそう」だと読むのを保留する。100%の波長の合い方ではないのだ、だから合わないこともあるけれど、合うとこれがなかなかどうして……。
さあ、今作はどういう趣向で来られたかな?

岸本さんのエッセイはエッセイなんだけど、でもどこか途中で創作になっていく、物語になっていくものが少なくない。全部本当かも知れないじゃん、と言われるかもしれないけど、どう考えたって現実では不可能なものがあるから。例えば今回ので言えば耳たぶの話とかね。
もちろん素材は彼女の実際の体験や考えたことだろう。というかもう「考えたこと」という時点で多分「創作」が入ってきているというか、彼女の「妄想力」はとにかくすさまじいのだ。よくわからない、なにを言ってるんだ、なぜそうなる、とか冷静になる前にどんどん腕をつかまれ引っぱられていく。
そうかそういう視点ありなのかと目からウロコというよりは呆然としてしまったり。

ちょっとやってみよう。
共感は◎、共感しないは×、共感はしないがエッセイとしては面白いは★。
最初はエッセイだったが途中から創作になってると思うもの (っ´∀`)っ

才能  ・・・・・レジ並びの話。◎ (っ´∀`)っ  
ダース考  ・・・・・ダース・ベイダーのこと。★
運  ・・・・・ボタンや傘がすぐダメになるという話。★
変化  ・・・・・モヤモヤする言葉。★ (っ´∀`)っ
物言う物  ・・・・・電化製品がしゃべる件。★
応援  ・・・・・自分が注目すると無くなる件。★
おもなできごと  ・・・・・日記風。★ (っ´∀`)っ
D熱  ・・・・・衝動のようにわきおこるドンタコス熱について。★ (っ´∀`)っ
上映  ・・・・・走馬灯の準備。★
マシンの身だしなみ  ・・・・・「ついつい入れてしまった飾り」への愛。★
素敵なアロマ生活  ・・・・・素敵生活の始まりとその突然の終り。トカトントン。★
次  ・・・・・生まれ変わったら。KYな自分。★
瓶記  ・・・・・日記風。空き瓶を整理する話。★
きれはし  ・・・・・知らない人が話していた気になる話。★
何らかの事情  ・・・・・聞くたびに変な気持ちになる言葉について。★
レモンの気持ち  ・・・・・レモン○個分とかいう表現について。★
友の会  ・・・・・アスパラガスの謎。★  
珍道具  ・・・・・傘と扇風機って変じゃない?という話。★
ガニ  ・・・・・うまい・まずいの基準。★
閉会式  ・・・・・オリンピック閉会式の思い出。★ (っ´∀`)っ
ファラの呪い  ・・・・・サーファーカットについて。★
みんなの名前  ・・・・・ニックネーム。★
スキーの記憶  ・・・・・冬のスポーツが嫌いという話。★
愛先生  ・・・・・ラブ先生の思い出。★
着ぐるみフォビア  ・・・・・着ぐるみの真実。★ (っ´∀`)っ
イ  ・・・・・イカとっくりについて。★
新しい習慣  ・・・・・片足立ちの話。★ (っ´∀`)っ
ハッピー・ニュー・イヤー  ・・・・・捨てまくる。★ (っ´∀`)っ
読書体験  ・・・・・本を読んでいると。★ (っ´∀`)っ
遺言状  ・・・・・胃カメラをのむ。★ (っ´∀`)っ
Mさんち  ・・・・・幼いころみた大人の素敵生活。★ (っ´∀`)っ
キラキラ  ・・・・・人から聞いた不思議な話。★ (っ´∀`)っ
転職の夢  ・・・・・サザエのふたへの愛。◎
金づち  ・・・・・数字が浮かぶひとのミステリー。★★★
ザ・ベスト・ブック・オブ・マイ・ライフ  ・・・・・夢の本。★
海ほたる  ・・・・・古いカーナビの話。★★ (っ´∀`)っ
M高原の馬  ・・・・・大きな馬の妄想。★ (っ´∀`)っ
雨季  ・・・・・雨への愛。◎
万物の律義さ  ・・・・・ある物がある場所にあるときは別の場所にはないということ。★
行けない場所  ・・・・・夢で行く場所。★
おめでとう  ・・・・・お正月の風習の由来。★ (っ´∀`)っ
耳  ・・・・・耳たぶへの愛。★
やぼう  ・・・・・「め」「ぬ」などひらがなの形状について。◎
会う  ・・・・・基本的な言葉についての考察。★
選ばれし者  ・・・・・トークショーで見た夢。★
おめでとう、元気で  ・・・・・周囲の個性派たち。★
やばさの基準  ・・・・・「あの宇宙人」と比較する。★

実際ひとつひとつ見てみると◎が異様に少なくて愕然としたが、逆に「共感できない」はゼロなのだ。そして「創作になっていく」 (っ´∀`)っの多さ。夢妄想と明らかなのだからあえてつけなかったものもある。
この各エッセイのタイトルを目次から書き写していて、あらためて岸本さんの「言葉」への情熱、センスと選択の確かさがびしばしと伝わってきて、小さく感動した。
言葉って美しいなあ。
装丁:クラフト・エヴィング商會