2012/09/28

三四郎 【十代からの愛読書】

三四郎 (新潮文庫)
三四郎 (新潮文庫)
posted with amazlet at 12.09.27
夏目 漱石
新潮社
売り上げランキング: 8285

■夏目漱石
この作品は1908年(明治41年)、「朝日新聞」に9月1日から12月29日にかけて連載されたもので、『それから』『門』へと続く前期三部作の一つ。
文章や描写に噛めば噛むほど味が出るのはどの作品にでも言えることかと思うが、『猫』や『坊っちゃん』、そしてこの『三四郎』は明るくて気楽に読めるのが好きだ。

「三四郎は難しい高嶺の花に恋したもんだなあ」とか「美禰子さんは野々宮さんに惚れてるんだけど相手がクール過ぎるのかね」とか下世話な感想を持ったりする、なんにせよ明治の話だろうが昭和・平成だろうが若い男女の恋愛ということで「基本的なことは変わらんのだなあ」としみじみ思う。美禰子が最後に選ぶ結婚相手とかね……なるほどなあ、女心って難しいなあ、でもわからないでもないなあ、とか。スジだけそのまま昼ドラに出来そうだよなあ。

解説に依れば『三四郎』は『草枕』の系列にあって、漱石はスジどうこうでなく「感じ」を描きたかったということらしい。そう謂われたらそうのような気もするが。でも田舎から出てきた愚直で初心な青年がいきなり都会の洗練された美人に惚れちゃって、そう積極的になれるでもなし、すごくリアルだと思うんだけどなあ。『草枕』みたく浮世離れしてるとか思わなかったけどなあ。

難しいことはわからないが、いま読んでも、何度読んでも面白い小説だと思う。野々宮さんは格好いいよなあ。与次郎はあんまりお金のこととかは信用できないけど基本的に気持ちの良い明るくて親切な良い友だちだなあ。三四郎は美禰子よりよし子さんのほうが合っているような。よし子さん可愛くて素直でさっぱりしててめちゃキュートだなあ。……などと具にもつかないことも考えた。

三四郎のモデルは漱石門下で漱石ラブで有名な小宮豊隆、野々宮さんのモデルはやはり門下で物理学者で作家でもある寺田寅彦、美禰子のモデルは婦人運動家の平塚らいてふ。

ところでどうでもイイ疑問なんだけど、三四郎って名前は長男次男ときて三男に付けそうな名前のような気もするけど文中に兄弟の話はいっさい出てこないしお母さんからの手紙はマメにくるしマメに返事書いてるみたいだし、一人っ子なのかしらね。そして三四郎は後々、郷里の御光さんと結婚したのかしらね。しなかったとしたらずっといろいろ特別に想って羽織り拵えたりしていた御光さんはさぞショックだったろうなあ。