2007/12/30

リリイの籠

リリイの籠
リリイの籠
posted with amazlet on 07.12.29
豊島 ミホ
光文社 (2007/12/14)
売り上げランキング: 5815

■豊島ミホ
可愛いいいいい!
なにこの表紙、ドイリーとかの部分が立体になったりしてる、ビーズと布と刺繍だあ、めっちゃ可愛え。しかもあんまり期待せずに読み始めたのだがこれがまた、かなり面白い、完成度の高い作品集だったもんでもう、大感激。
女子高が舞台の連作短篇集。
豊島さんて女子高出身じゃなかったと思うけど、いやー上手いな。ていうか、大学生書いた小説は正直あんまりだったけど前の『エバーグリーン』も良かったし、高校生書くのが得意なのかな。
ひとつひとつの話を読み終えたときに、何かしら感情を刺激されるものがある。噛み締められるものがある。『ぽろぽろドール』で一皮むけたと思ってたけどこれは更に進化してる感じ。
嬉しい驚きだ。

「銀杏泥棒は金色」
これはタイトルで金銀を配してある、狙ってあるのかな、そうだろうな。
世の中にあること、なんにも興味をもてない、という美術部員の女の子がたまたまある女の子の行動を見掛けて、そのとき初めて求めていたものを見つけた、と思う。
最後に主人公がキャンバスに描く絵は間違いなく金色の光を放っていて、それは私の目にも見えるようだった。

「ポニーテール・ドリーム」
若い、まだ恋に憧れている感のある女教師の話。
こういうどっか垢抜けていない素朴な人柄描くのが本当に上手いなあ。
この先生と、ちょい派手めの女生徒とのやりとりがなんだか良かった。同級生だったらたぶん口をきくこともなかっただろう二人だろうから。

「忘れないでね」
転勤族の親をもつ主人公は転校を何度もしていて、だから新しい学校に行ったらどういう子を友達にするかは決めていた。そして出会った瞬間からどういう風にその子を「置いて」次の地へ行くかも決めていた。
そんな主人公がもう転校のない状況で選んだ友達、そして立てた作戦と結果。
新幹線のホームの光景が実に鮮やかで、涙のつかい方も的確で、上手い。

「ながれるひめ」
しっかり者のお姉ちゃんをもつどっちかというとその場しのぎの女子大生である妹の話。姉が教師として勤める学校に教育実習に行くことになった妹。
姉妹というのはこういう感じなのかな、いいなあ。
私は弟が二人いるので、お姉ちゃんの気持ちはすごくよくわかる、共感した。
「お姉ちゃんの罠っ……」シーンには思わず吹き出してしまったよ、面白いなあ、上手いなあ。

「いちごとくま」
とっても可愛い容姿をもった女の子が主人公。あんまり友達づきあいは上手くないというか、同性に嫌われるタイプの女の子、彼女に明るくかまってくれる友達ができたのだけれどもその子は「くまっち」と呼ばれるような外見と性格の子で……。
女の子の微妙な心の駆け引きみたいなのがすごくリアル。

「やさしい人」
久しぶりに同級会を開くことになって、その幹事を押し付けられるように引き受けてしまった主人公は、高校時代にそんなに親しくはなかったけれども何か胸に残る関係だった友人と久しぶりに顔を合わせることになる。
こういう人間関係もあるよなあ……としみじみ。ラストの種明かしにはあっ、と思い、あっそうか!と唸った。鮮やかな手際だ。

「ゆうちゃんはレズ」
この本の表紙を開いた瞬間からこの目次の文字は目に入っていて、うぉーいイロモンかあ、と思っていたのだが実際読んでみたら予想していたよりずっと真面目に書いてあって「ああこういう書き方があるんだあ」と思った。
誰かに必死で必要とされることを望んでしまう気持ち。
それは、わかる。そしてそんな気持ちで恋心に応えられてしまった彼女の気持ちもね……。

いやあ、上手い上手いばっかり書いてしまったけどホントにいつのまにこんなに器用な作家になってしまったんだ豊島ミホはっ。