2007/12/27

クローバー

クローバー
クローバー
posted with amazlet on 07.12.26
島本 理生
角川書店 (2007/11)
売り上げランキング: 13851

■島本理生
このひとも頭の隅に軽く引っ掛かっていた作家さんで、『ナラタージュ』が話題になったときに読もうかなと思ったが漏れ聞くストーリーがあまり好きそうなものではなかったので敬遠していた。『クローバー』は発売日に書店に平積みされているのを目にしたときになんてまあ、可愛い表紙だろうかとかなり引き寄せられたのだが、帯の文句を読むだにげんなりしたのと、まだ若い著者の作品をなんの情報もなく表紙買いすることにためらいを感じ、控えていた。今回、「本の雑誌」1月号で北上次郎が本書について触れていて明るい話だと云うので、それならまあいけそうかなと読んでみた。

ひょっとしたらものすごくカンに障る作風かもしれないと構えて臨んだのだが、杞憂であった。別に悪くない。変な衒いもないし、何かを狙ったような変な展開もないし、うん。
でも逆に言えば「なんにも残らない」。

この本はまず短篇として書かれた第一話を読んだ時点で主役の女の子のキャラ設定があんまり好きなものじゃなかったから「うーん」と思っていったん伏せた。で、リンクの『マジック・フォー』を先に読んで、それが終わってからあらためて第二話以降を読んだ。そしたらどちらかというと主役は女の子からその双子の弟になっていて、しかもその後出てくる女の子の書かれ方を読んでいると最初に感じたほどは嫌いじゃないな、と思えるようになった。

大学生の双子の姉弟を中心にその恋愛とか暮らしぶりを描いてあるわけだが、ものすごく王道の設定で、だいたい先が読めるし、ぼけーっと読んでいても全然驚かないで済む。
ただ、中盤から弟の彼女とのあいだにある事件(?)が起こって、それによって弟は自分の進路を揺るがされるというかそれで悩まなくてはならなくなるのだけれど、そのへんの展開がちょっと言葉足らずなんじゃないかなと思う、なんかいきなりな感じがするというか、「おーい、ちょっと待てーなんでそういうふうに邁進してんだー」という感じがするというか。しかも弟が選んだ道はそりゃまあ無難っちゃー無難なんだろうけれども読みながら「えええええ」と軽く不満を感じてしまったというか、「んなことわざわざ小説にすんのか……」というふうにアタクシは思ってしまった。「あとがき」によればこれはモラトリアムとその卒業を描いた小説だそうだ。はは。

なんていうか、喫茶店でたまたま隣に座った子達が噂話に花を咲かせていて、それを聞くともなしに聞いていて、「あ、結局そうしたんだー」みたいに思って、で、お会計済ませて店を出たらその話は既に頭の隅っこに消えかけている。日々の雑考の中で忘れ去られていく。
そんな感じの話。