2007/12/17

大好きな本 川上弘美書評集

大好きな本 川上弘美書評集
川上 弘美
朝日新聞社 (2007/09/07)
売り上げランキング: 29425

■川上弘美
9月に出版されたその日に即購入して気のむくままにつらつらと読んでいる本。好きな記事は繰り返し読んだりして。

たまに文庫解説やなんかでお目にかかる著者の書評は非常に穏やかで、好意的で、いつも”川上弘美ワールド”になっている。
本の話なのだけれど、たまに触れられるエピソードやなんかが、見事に川上的世界を構築しているのだ。
私にとって小説ではそんなにわーっと電撃的に好き、という波長の合い方をしない作家さんなのだが(でもまあまあ好きだからたまに読ませていただく)、書評は「あーこのひとみたいな書評良いよなあ」といつも思う。他の項で何度も書いているように、私は基本誉めるスタンスの書評が好きなのだ。

『大好きな本』で取り上げられる本たちはそういう意味で私好みのスタンスで書かれている。
指定される本の中には気に入らない本もあるんじゃないかなと思うんだが、まあ、本名で書いているんだし、同じ作家の立場だし、川上さんだし。批判とか、角突き合わせて文学論争とか、しそうにないイメージだし(実際はされているのかも知れないけれど)。
どんな本がやってこようともどこかしら誉められる点を探してきて、それを一所懸命誉めている。そんな気がする。

読んだことがある本も、噂を聞いたことがあるだけの本も、まったく未知の本もあるのだが「ははあ、あの本のここを誉めるか」というふうにやや意外に感じる書評もあれば「これは手放しで誉めているな」と伝わってくる情熱に引き寄せられる書評もある。

どれが、川上さんの本心からの誉めか。
そんなふうなやや意地悪な視点で見極めながら、読んでいくのもいいかもしれない。
でも、素直にそのまんま、ごくごくごくと飲み干しても川上さんの文章は澱みなく美しいからおいしい。
基本誉めの書評は、基本誉めのスタンスで、心穏やかに吸い取るのが一番良い気がする。