2007/10/28

たったひとつの冴えたやりかた

たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)
ジェイムズ,ジュニア ティプトリー 浅倉 久志 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
早川書房 (1987/10)
売り上げランキング: 40074

■ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
書評等を読んで可及的速やかに該当書籍を読みたい、いや読まねばならぬ、読まずにおらりょうか! と思う本もあれば「おーなんか知らんけどなかなか良さそうだしいつか読みたいもんだよなあ」と漠然とアタマの隅っこにインプットされる本もある。
後者の本が駅前の小さな書店でも常に常備されているようなものであった場合は比較的早い時機にそれは手に取られるわけであるが、ちょっと大きめの書店でないと見掛けないような場合は結構何年もずるずると後回しにされていくことが多い。意識的にやってんじゃなくて、いざ大型書店に行ったときには目先の目的本などに気をとられて忘れてしまっているからだ。

このティプトリーの代表作とも言える本書は私にとってまさにそういう本だった。
誰が誉めていたんだっけか。瀬戸川猛資さんかと思ったけど調べたら違った。
タイトルが非常に印象的で、何故か表紙を『観用少女』の川原由美子が飾っている(読んでびっくりしたが中に挿絵もされている)。

3つの中篇集としても読めるし、あいだを1つに繋ぐ風にもしてあるので長編として捉えても間違いではない。
ただお話同士は独立している。

思っていたよりもSFというかSFならではの独特の用語が入り混じった文章で、しかも表題作は主人公が16歳なので台詞等が少女小説そのまんまのくだけたモノで、なんだか妙に読みにくかった。
しかもこれ……こういう話だったのか……!

3篇あるけれども3篇目の途中で力尽きてしまった。
なんかどうにものめり込めない。
高校生のときはSFに結構ハマっていたから、あの当時読めばすんなり溶け込めたんだろうになあ。

「たったひとつの冴えたやりかた」は、初めて自分専用の小型宇宙船を16歳の誕生日に買ってもらったお転婆な女の子が両親に内緒で両親の予想を超えた宇宙への遠出をしちゃうというお話。
以下ぼかして書いているいるけれどネタバレなので白文字反転仕様で

その設定でこのタイトルだから、冒険活劇というか、ピリッとしたスルドい機転で少女が何らかの困難を克服するという展開を最初は予想したのだが、途中で解説を読んだら「この小説を読みおわる前にハンカチがほしくならなかったら、あなたは人間ではない」と書評された、とあって、その後の展開がほぼ読めてしまった。しかも私はどうやら人間ではないらしいことが判明してしまった(笑)。
なんでかなあ、と考えたんだけどやっぱり主人公の状況に応じての感情描写が後半ほぼ無くなるからじゃないかな? もう過去のこととなってしまった公式の通信で展開を追うだけなので、一拍置いてしまうというか。しかもなんかそれを見ている大人たちの状況も全然感情的じゃないし。
前半あれだけああいう描写をしておいて、こういう主人公で、どうしてこの結末じゃないといけなかったのか。
全然納得ができん。

2篇目「グッドナイト、スイートハーツ」
クローンとか美容外科とかがすっごく進んだ未来で、初恋の美女にふたたび出会う。しかも若い彼女自身のクローンまで出てくる。男性にはこれ以上はないという夢のシチュエーションかに見えたが、結末を読むと「男の弱さ」というか「ずるさ」みたいなものを男性名であるけれど実は女性であった著者が皮肉ったのかなあとも思う。