2007/10/21

太陽と毒ぐも

太陽と毒ぐも
太陽と毒ぐも
posted with amazlet on 07.10.20
角田 光代
文藝春秋 (2007/06)
売り上げランキング: 8465

■角田光代
さっき気がついた。のだけれど、これは字面から思い込んでいた『太陽と毒蜘蛛』ではなくて『太陽と毒雲』が正しいんだろうな。
表紙の小田島等のポップなイラストが「北風と太陽」みたいな絵で、「なんで蜘蛛じゃなくて雲のイラストなんだろう……」と漠然と疑問に思っていた私はもしかしなくてもバカか。うーん。
「太陽と毒雲」ってどういうことか。
やっぱ「北風と太陽」ってことなのかな?
臨機応変というかモノゴトは一歩的なやり方だけじゃうまくいきませんよー柔軟性をもってやりましょうねーという。

……うんまあつまりはこれはいろんな若い男女の恋愛模様を描いた短篇集で、だからそういうことなのだろうな。

とりあえず、割とどのお話にも著者は拘泥しないっていうか、あるところまでは引っ張っていってくれるんだけれどもきっちり線が引いてあって割とあっさり、ぽーん、と放り出される。
よきにはからえ。
後は好きにしな。
てか勝手にしやがれ。
という感じだろうか。

とりあえず恋愛小説はあんまり得意じゃないのだけれどそのクールな著者のスタンスで気が楽になって、どれもどっか変だったり問題があるカップルの話ばっかりなのだけれど、するするする~と次から次へと読めてしまった。

「あとがき」で彼らのことを角田さんは「ばっかじゃねぇのこいつら」と思ったと書いておられるが、続けて「恋愛を喜劇だと蓮っ葉にとらえたことなどただの一度もないが、書いたものはみな情けないコメディのようである。」と断じておられ、非常に正直なひとだなあ、と感じ入ってしまった。

まあ恋愛とか、恋人同士の語らいっつーのは当事者にはものすごい大切で重大なことだったりするわけで、「なぜそこで冷静になれない」「なぜそこまでハナシがいってしまう」「なぜちょっと我慢してやれない」というのは第三者だから言えることなんだろう。

個人が、自分の生き方というものをある程度確立していてそれでまったく違う環境・生き方をしてきたもうひとつの個性とただ「好き」だからという理由で一緒に生活をする。
それがどういうことなのか、を、本書を読むと少しだけ覗けた気になれる。

なんのかんの言っていてもそれまでどおり向き合っていくカップルも少なくなく、そういうところも角田光代の描く世界らしいなあと思った。