2007/08/13

マレー半島すちゃらか紀行 【再読】

マレー半島すちゃらか紀行
若竹 七海 高野 宣李 加門 七海
新潮社 (1998/09)
売り上げランキング: 222784

■若竹七海ほか
久しぶりに再読。
若竹七海氏、加門七海氏の2作家とその友人、高野宣李さんの女性3人が1994年3月にマレーシアを旅行したときのドタバタコメディチックな旅行記で、翌年単行本として出版され、98年に文庫化されたもの。ちなみに現在は在庫切れ・重版未定になっているようだ。

「蠍座」だからどうの、「御神籤」がどうの、と結構スピリチュアルな根拠が堂々とまかり通る彼女らの世界には正直心底の共感は難しいのだが、若竹氏の毒舌のほほん甘辛ミステリを愛読している身なので信じてついていける。それに霊感があるメンバーなのでそっち系の話も多い。川を渡って違う橋から帰ってくるとか、そういう知識はやっぱり霊感ある人には必須なんだろうな、10年前読んだときも思ったけど、「みえる」という人とそうでない人ではいろんな考え方が根本的なところで違ってくるのではないだろうか、なんか「みえない」私とは違う視界が広がっているというか。そういうことを思い出したりして、個人的に懐かしく読んだ。

本書を読んで判断する限り、この3人の中には中立・リーダー・姉的存在がおらず、わが道を行くぜ色に多少の差はあるものの、だから基本的にみんなてんで自由に希望を言い合い、旅費や日程などからルート・手法を選択していく感じで、その際に多用される思考は「ま、いっか」である。
この精神はいい加減なようでまあ確かに実際いい加減な面もあるのだが、日本のような時刻表どおりのきっちりしたシステムではなくいろんなことが不確定で臨機応変が常に求められるような状況ではこの”行き当たりばったり変更ま・いっか精神”であるからこそストレスが溜まらず流れに乗っていけるんではないかなということが結構多いようだった。
だから「なんでこんなことにぃ!」と叫びつつも、彼女たちは充分楽しんでいるし、適応しているし、全然へこたれていない(ように見える)のだ。たくましい。うらやましい。

旅行中、彼女たちは現地でいろんな親切なひとに助けられて彼らを称して「貴人」としているのだが、それは彼女たちが女性であるからで、自分たちが旅でやはり同じようなハメに陥ってもそのような手を差し伸べられることはついぞ無かった、と言う男性の話が「座談会」(p315)に出てくる。まあ、そうだろうな。

女性ならではの珍道中、旅がどうこうも楽しいがそもそも彼女らの言動そのものがコメディである。エンタメサービス満載の姿勢で書かれた本書はシステムにガンジガラメに縛られているひとの格好の息抜きとなるのではないだろうか。