2007/08/13

きらきらひかる

きらきらひかる (新潮文庫)
江國 香織
新潮社 (1994/05)
売り上げランキング: 5895

■江國香織
引き続き久しぶりの再読。
これも美しき霞食ってる物語。
正確にいうとアル中ではないけれど精神的に不安定で感情の浮き沈みが激しい笑子と、穏やかで誠実だけれども男性しか愛せない(平たく云うとホモ)の睦月は「脛に傷持つ者同士」としてお互いに承知の上で結託して結婚した。
彼らと、睦月の恋人・紺(というわけで男性)を巡る、「シンプルな恋愛小説です」(by.江國香織)。
おままごとのような結婚生活、これもリアリティという面からは恐ろしく遠い話なのだけれど、笑子の切なさ・寂しさ・どこにも足が着いていない日々への焦燥感がとてもストレートに伝わってきて、睦月は個人的にとっても理想的で素晴らしい人物だと思えるだけにどうして彼は彼女を抱きしめる為の両腕を持っていないのだろうかと思わずにはいられない。それでもってまた、紺君が魅力的でいい奴なのがどうしようもないというかきっちり計算されて書かれているなというか。ふつうはライバルである筈の紺君に安易な八つ当たりの仕様がないようにされているのだ。確信犯め(笑)。

「やっと独立した夫婦に」
ラスト近く、紺君が言う台詞にハッとさせられた。
それぞれの両親や世間体に縛られてあちこちに嘘をついて自分たち同士にも本音をぶつけ合えないままの彼女たちが終盤いろんなことをぶちまけた末に出した結論は社会的には一見何も状況は変わらないように見えるが実はいろんなことが違うのであり、明日への第一歩となっているのだ。

解説が今江祥智というのがなんともなるほどなあの著者である。