2005/07/24

アーモンド入りチョコレートのワルツ

4043791011アーモンド入りチョコレートのワルツ
森 絵都
角川書店 2005-06-25

by G-Tools

■森絵都
これは児童~大人まで楽しめる短篇3つが収録されている。全部クラシックの名曲がタイトルになぞられている。内容にも絡んでいるようだ。

1篇目「子供は眠る ロベルト・シューマン<子供の情景>より」

読み出しから楽しかった、途中で「この話はどこへ向かうんだ?」と思い、読み終わったときは思わず立ち上がって「う、うまい、うますぎる!」と心の中で叫ばずにはいられなかった。やばいです、コレ。
えと、中学生くらいの少年たち(従兄弟)5人の夏休みの物語なんですけどね。
少しずつの年齢の違いが生み出す、毎年毎年の成長、各々のエゴ、彼らなりのかけひき。ああ!そして「見えていなかった真実」を知ったとき、彼らは確実にまた一歩、大人に近づくのだ。きっと。
章くん最高。
カッコよすぎるよアンタ……(笑)。

2篇目「彼女のアリア J・S・バッハ<ゴルドベルグ変奏曲>より」

中学生くらいの淡い恋……恥かしさとかプライドとかがあって素直になれないところとか、甘酸っぱい感じ。これは別にどうということのないハナシでしたぁ(←正直)。

3篇目「アーモンド入りチョコレートのワルツ エリック・サティ<童話音楽の献立表>より」

期待が大きかったってのもあるけど1篇目を越えず。まー、好みの問題ってのが大きいけど。このお話には「サティおじさん」という人物が出てくるのだが、彼を好きになれるかどうかが大きなポイントになっていると思う。

で、私はこういうおじさんに「わーい」と親しめない人間なんだ、悪いんだけどさ。嫌いじゃないけど、ここまで理解不可能だとなあ。別に四角四面に生きてなきゃ、ってんじゃ絶対ないけど、この「サティおじさん」って絹子さんを結局は苦しめるしかできないダメ男じゃない。子どもには「自由」がウケるのかもしれんけど、「ちょっと待てぃ」ってなっちゃうんだよなあ。
この話の主人公は中学生の少女だけど、私がその年齢でサティおじさんに会っていたら間違いなく逆毛立てて警戒してただろーなぁ、みたいなね。

「大人」なのに「大人のルール」を生きないサティおじさん。
何を考えているのか、何も考えていないのか、真面目なのか、そうじゃないのか、よくわからないひとだ。
こういうひとは、同時に、どこかとても哀しい、切ない感じがする。
この話を今じゃなくて少女時代に読んだらどう受けとったのかなあ……とあれこれ考えてしまう。

それにしても、「アーモンド入りチョコレートのように生きる」って、いったいどういうことなんだろうねえ?