2005/06/05

くうねるところすむところ

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平 安寿子
文藝春秋 2005-05-25

by G-Tools

■平安寿子
表紙イラストのあまりの愛らしさに書店で「ききいっ」とブレーキがかかった。著者名を確認したら私自身は未読なものの、北上氏はじめ書評で大絶賛の『グッドラックららばい』のひと!思わず即買い。
というわけで通勤往復で読了。うわああ、これも面白かった~!

初めてこの著者の作品を読んだけど、へええ、こういう小説書くひとだったの。書評からなんとなく想像していたトリッキーな感じがあまりなく、なかなか好みだった。なんか、時代を先走ったような、変にクールで前衛的?なのって読んでいて疲れるんですよ、このひともそうなのかなーって思ってたんだけど、違うみたい。

また、書かれる文章や立ち昇ってくる雰囲気からわりと若い女性を想定していたのだけれど、1953年生まれでらっしゃる。云われてみれば、このじっくりコトコト煮込んだ人生スープは若輩者には出せないワザかも、などとプロフィール眺めてうなずいたり。

やー。
でもなんつーか、エネルギッシュっていうか元気っていうかカワイイっていうか。

二人の主要キャラ、三十歳と四十五歳の女性の描き方がむっちゃリアルな躍動感で、思わず著者像と重ねてしまったのだ。
うまいなあ~。

梨央、三十歳。独身、零細求人雑誌編集部勤務。「なんだかなー」という今日この頃。酔っ払って、建築中の家の足場に登って、そのまま降りられなくなる。それを助けてくれた「姿三四郎」サワヤカとび職人に一目惚れ、なんと彼を追いかけて工務店に就職までしてしまう。
郷子、四十五歳。夫がフィリピーナに入れ込んだことをきっかけに離婚。同時に父親の築いた工務店の社長の椅子までまかされてしまった。あたしこのギョーカイ素人なのに!なんて言っても誰も代わってくれない、しゃかりきに勉強しつつ愛想笑いを貼り付けて、社長業をこなさなければなのだ!

この二人の主人公のとにかくエネルギッシュで、でも時に落ち込んだり開き直ったりしつつの日常が本当にいい。何がいいって「くそまじめ」じゃないところがもう素晴らしくイイ。「なんでこの状況で深刻にならないんだろう……(笑)」なんて思ったり。自分ではこうはいかないなあ、と尊敬の念すら抱きつつ読んでいた次第。

タイトルは「じゅげむ」。くうねるところにすむところ、やぶらこうじぶらこうじ、ぱいぽぱいぽぱいぽのしゅーりんがん……。作品全体の雰囲気も表してるのかも。
良いいタイトルだなあ。