2003/08/07

カブキの日

カブキの日
小林 恭二
新潮社 2002-06


by G-Tools

■小林恭二
【1日目】
歌舞伎のこと全然わからないのでどうかと躊躇していたんですが。これは。。。想像していたようなジャンルと違うぞ。こういう、どう発展するか予想できないスリリングさはたまらない。新規開拓の妙味ですな。
なんか読み始めから時代設定とか主人公の年齢とか誤解してまして、途中からわかってきたり。最初は明治とか大正時代のハナシかと思ったんですよ、でも途中でCDショップとかいう単語が主人公の口から飛び出してくるもんで「おお?」と戸惑う。
(描き方が大時代的というか様式美っぽいからそう思ったのかなー。筒井康隆のある種の小説を彷彿とさせる……)。などと迷いつつ読んでいくがこれはもしやSFか?純文学と思って読んでいるから違和感があるわけであって。「運河があって船で歌舞伎を見にいく」っていうのはさ。イマじゃありえない、しかし時代設定がイマらしい。つまりこれは、パラレル・ワールド!?そう?そういうことね!?
ところどころに差し挟まれる挿話は過去の事件らしく、これが現代(?)とどうリンクしていくのかという楽しみもある。
なんか、ほんと不思議な感じの作品です。謎。解説は単に芸術論というか舞台論になってて役に立たん(松たかこを絶賛している。いや松たかこはいいんだけどさ)。書き手が蜷川監督だもんなー。読み進むしかないか……。
【2日目】
ほんとに不思議な感じで、楽屋の3階の描写なんてこれはえーと、ほんとにSFだわ、筒井康隆の『遠い座敷』をもっと壮大にしたような!すごい!おもしろい!ファンタスティック!!廊下をずんずん歩いていくんだけど、むっちゃくちゃ広くて、野原みたいなところがあったり街があったりするのです。迷路というか。ドアがあって、いくつも部屋から部屋につながっているの。4次元っぽい。3Dのチャットを思い出したりした。
【3日目】
読了。
最後まで、これの主線はどっち?とわからないまま読んでいたんですが、ははぁ、そうかあと。つまり「あやめ対京右衛門」なんですね。「古典伝統対型破り」とも。しかし縦糸より横糸(蕪ちゃんの冒険)シーンのほうが楽しかったなあ!
ちょっとボーッと読んでいたらわかりにくい構成かも(私がバカなだけとも)。思わず最後まで読んでそのまま最初にもどってざっと途中まで再読しました。なるほどなー。
どっちみち一読だけでは読み込めなかった気がするし、おもしろかったし、放っておくともったいない良品だと思うのでまた再読しようと思います。歌舞伎についてもうちょっと詳しいと理解できるのかな~。
それにしてもなんとも不思議な独特の世界を築き上げているものじゃ。いやはや!