2003/08/20

疾走

疾走
重松 清
角川書店 2003-08

by G-Tools

■重松清
2003/8/18
単行本新刊コーナーでギョッとするインパクトの表紙に思わず立ち止まって見たら重松清の新刊だった。うわ。手にとって数行読んでみる、なんかあんまり好きなスタイルじゃないっぽい今回のお話(「おまえは~」という視点で3人称で書いてある小説、あんまり見かけないスタイルだなあ)。テーマはどうやら「少年」みたいだ。ちょっと迷ったけどまさにタイムリーという感じだし、この本の持つインパクトは凄いので読んでみることにする。重松清『疾走』帰りの電車で第1章の終わりまで。
2003/8/19
『疾走』読書中。ちょっとノってきました。お兄ちゃんの笑い方怖すぎる。。。
2003/8/20
かなしい、かなしい、かなしい。言葉にすると空しいし何か違う。重松清『疾走』、ついさっき息を詰めて読み終わりました。最初から苦しい物語で、いつか救われるだろうか、救われてほしい、絵空事でもいいから。と思って読み続け、後半、「これ、重松清だよね?ハートウォーミングな重松清の小説だったよね?シニカル東野圭吾じゃないよねえ?」思わずラストの展開に救いを求めてそんなことを思ったりした。しかし重松清は同時に絵空事を書かない、綺麗ゴトで妥協しない作家でもある、というのを思いもした。どういう結末を描くんだろうか。。。とりあえず作中世界に入っているのが苦しくて、早く読み終わりたかった。そういう作品だった。

頑張っていれば、一生懸命に生きていれば、しあわせになれる。そういうこともある。確かにあるんだと思う、思いたい。――でも。どんなに生きようと、不幸から逃れられないことだってある、人生は平等じゃない、神様は助けてくれない、人間のぬくもりは助けになるけれど、そのぬくもりがまやかしのときだってある、――。なんか、書いているだけで嫌になってきますね(苦笑)、でも『疾走』で重松さんが私に突きつけてきたことってそういうことだと思う、んでそれってやっぱ事実なんだとも思う。なんかさ、そりゃそうだけどさ、わかるけどさ、――ほんとに、よくもこんな悲しい小説を書いてくれたわね。すごい、うまい、だけど、やっぱ悲しい。この物語の主人公は15歳で、不幸で不幸で不幸で、彼は不幸にもう慣れてしまって、誰かを信じることも忘れかけて、一瞬だけど信じられるかなって思ったら踏みにじられて。――有り得る話だと思う、嘘だとは思わない、だけど28歳の私のエゴで綺麗ゴトだけど――、こういう話を実感できる10代ができるだけ少ないことを願いたい。希望にすがっていてほしい。明けない夜はないんだって、完全には信じられないでも、どこかでまだ思っていてほしい。じゃないと、辛すぎるよ。
「生きる」ことを書きつづけてきた重松清が、『流星ワゴン』で私を何度も泣かせた重松清が、この時期にこれを上梓した、そのメッセージは何なんだろう。私はラストスパートに入ってから考え、読み終えて今も考えている。とりあえずこの小説を読んでいると悲しい思考がぐるぐる締め付けて参った、いやほんと。ああ、子どもであること、十代であること、未完成であることって何て苦しいんだろう!!図々しく図太く生きてください。人生なんてそんなもんです。