2003/08/01

黒いハンカチ

黒いハンカチ
小沼 丹
東京創元社 2003-07


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■小沼丹
小沼丹というひとは早稲田大学の英文学の先生で、非常に寡作の方だったようで、しかも本来は純文畑の方だそうです。ミステリは昭和32年に連載されたこの1冊だけで、今回のが初の文庫化だという。へー。流石と思うのは文章の流暢さというか端麗さ。漢字遣いが目をひく。例えばhereの意味で「ここ」っていうのが「茲」と、漢字なんです。「まさか」は「真逆」ですしね。

肝心のミステリとしてはどうなんだ、と云いますと。これが、良いんですよ~!!日常的な風景から、ふっと起こる事件を、女学校の先生であるニシ・アズマ女史があざやかに(そしてさりげなく)解決してみせる。この名探偵のポイントは「観察眼の鋭さ、細やかさ」です。ほんとに何気ないことを、しっかりと見ている。それで、ちょっと「変だな」と思う。そこから真相にたどり着く、というパターンなのです。あざやか。ほのぼのとした感じが味わえる滋味あふれた短篇集です。