2003/07/02

りかさん 【再読】

りかさん
梨木 香歩
偕成社 1999-12


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りかさんりかさん
梨木 香歩

新潮社 2003-06
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■梨木香歩
単行本を持っているんだけど書き下ろし読みたいし、大好きなハナシだから文庫があればいつでも手軽に読めるよな、と文庫版『りかさん』を買って読む(再読)。やっぱりおもしろくて、ちょっと読むつもりがやめられなくて、眠るギリギリまで読んだけど書き下ろしは読めなかった。「りかさん」というのはタカラの「リカちゃん」ではありません。市松人形です。
『りかさん』は、単にお人形と少女の物語ではなく、そのほか、いろんな心の機微に迫るようなことが書いてあり、子どもが読んでももちろん楽しいでしょうが、おとなが読んでもまた味わいが深いのではと思います。太平洋戦争のときのことなんて、他のことは何も書いていないのに戦争の狂気が本当によく伝わってくる。すごいね。

翌日、文庫版『りかさん』に書き下ろされた「ミケルの庭」を読んだ。これは『りかさん』の続編というよりは『からくりからくさ』の続編と言った方が正しいかも。『りかさん』→『からくさ』→『ミケル』が時系列順です。『りかさん』で小学校3~4学年くらいだった「ようこちゃん」が『からくさ』で大人(蓉子)になっていて、そのとき一緒に暮らしていた3人のうちのひとり、マーガットの娘ミケルちゃんと残り二人の大人紀久と与希子が出てくるお話です。
これは大人向けの話だと思う。小学生が読むには「大人の女の業」みたいなのが書かれすぎてて怖いというか理解し難いと。よくぞここまで切実に書けるなあ。病院で蓉子が紀久に言う台詞には感激、こういうときにこういうふうに言える人間でありたいものだ。『りかさん』でも思ったけど、梨木さんというのは本当に人間の細かい心の機微を書くのがうまい。それも難しい言葉を使わないでさらりと書かれるので水のように染み込んでくる感じ。良質、というのがぴったりかなあ。