2002/10/21

椿山課長の七日間

椿山課長の七日間
椿山課長の七日間
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浅田 次郎
朝日新聞社
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■浅田次郎
私は本をヒトに借りたりはまずしない主義なのですが、会社の上司が浅田次郎ファンで、その会話に不覚にもノってしまっていたところ(だって本のハナシできるの嬉しいんだもん)、最新作を貸してくださいまして。これは文庫になってから読もうかな、とか思っていた程度だったんで、「およ」と思いましたがまあありがたくお借りしました。借りた本読むのって気を遣いますがー。まあ好意なので。

と、ゆーわけで午後から1時間ばかり浅田次郎『椿山課長の七日間』を読みました。ええっとこれで、全体の1/3くらいでしょうか?……やっぱ借りた本読むのって100%集中できません。まあ、割と面白くって笑っちゃったトコロも涙が滲んだトコロも既にあるんですけど(笑)。それにしても、先に読んだ上司から聞いていた話とイロイロ違う点がいくつか……。「うーむそうか、あの上司の頭の中ではこのストーリーがああいうハナシに解釈→記憶の改造されているわけね。同じハナシ読んでも性格とか考え方で紹介の仕方が変わってくるってヤツだなあ~」とか思ってしまいました。普段のその上司の性格とか解かっているので、ナルホドなあ、と。……そんな余計なことを考えているので、読むの疲れます(^^;。1時間でしおりを挟んで、昨日の『フルバ』などを読んだりしました。でも月曜には返さないとなー……。

これはどういうハナシかというと、椿山課長というのは冒頭から死んでいるんですね。で、死後の世界に入りかけるんだけど、どっこいまだまだこの世に未練がある。とゆーか、このまま死んでたまるかと。そこであるシステムにより現世に戻ってくる……しかしその姿はキャリア・ウーマンの美人女性として……(←このへんが、お笑いポイント)というトコロです、まだ。結果的には泣くハナシらしいです世間の評判に依りますれば。はてさて、これからどうなるのか?

それにしてもこのハナシでこの世と極楽の間の関所というか、役所みたいなのがあるわけなんですが、ここでの事務処理とか講習とかそういう流れが、自動車免許を取るときに行った県の試験場でのシステムとかにそっくりなので、思い出してしまいます。マア、この関所について「お役所仕事」だと強調して何度も描いていますから、さもありなん、というトコロなんでしょうけど。うーん、なんていうか、……変なの(笑)。


※読了。
ところどころ、泣かされました。ちっちゃい子どもネタは卑怯だよ~(泣)。この小説の主人公は3人なんですけど、一人はデパートの叩き上げのノンキャリアで、46歳で過労死?する椿山課長、もう一人は真面目な古き良き極道(?)武田氏、それとまだ小学校低学年の少年蓮ちゃん、なのです。で、それぞれが「このまま成仏するってーのは納得できん!」というわけでこの世に戻ってくる、数日間を回り灯篭のように書いてあるのです。

生前の本人とはまるでかけ離れた容姿での戻りだから、もちろん事情なんて説明できない。というより、戻る条件に「正体をバラしてはいけない」「時間制限を守らなければならない」「復讐してはいけない」の3つがあり、これを破ると「こわいこと(=無間地獄みたいなトコに落ちるらしい)」になるのだ。

そんな設定で、いったい何をどう書くんだろう……、と危ぶんでいたが、いやはや、まいったね。さすがは浅田次郎。笑いアリ、涙アリの、エンタティメントに見事に仕上がっている。読む前は「死んだ人間が数日現世に戻る~?それって重松清の『流星ワゴン』じゃないの~?」とか思っていたのだけれど、うーん、全然、違う話というかテーマですな。うううん、こーゆうネタでこーゆう書き方もあったのか、という感じ。

けっこう意外だったのが、小説で何度も出てくるモチーフの「結局、この世に戻ってくるほどの正当な理由をもって死ぬ人間なんていない」というヤツ。「死んでも歯車は回っていく」といいますか。確かにその死によって悲しむヒトもいるし、いろんな影響は出る。でもそれで残された人々の世界が壊れるわけじゃなく……。勿論「だから生きていることなんて所詮無意味」ってんじゃなくって。なんていうんだろう……?「生死のモンダイっていうのは、個々の小さい問題とかを超越したレベルのハナシ」である、でもそんな中でもやっぱりイロイロあるのが人間で、それだからこそ人は泣いたり怒ったり、助けたり助けられたり、許したり……ができるんだよ、ってことなのかなあ。うーん。。。

まあ「浅田次郎」としてこれが最高傑作とは全然思わないので(^^;、高い単行本を急いで買う必要があるかというとやや保留ですが、今現在のしがらみとかに嫌気がさしている方にはひょっとしてある種の開き直りを与えてくれるかもしれません。