2002/07/04

どこよりも冷たいところ

どこよりも冷たいところ
S.J. ローザン S.J. Rozan 直良 和美
東京創元社 2002-06


by G-Tools

■S・J・ローザン
【1日目】
書棚の前で私は踊った。
――イヤ、実際には踊ってないけど(^_^;)。心の中でコサックダンス、そして凱歌を上げたんである。
数年前にシリーズ第1作を読んで以来毎年春に1冊ずつ翻訳されてきたS・J・ローザンのミステリー。チャイナタウンに住む小柄な女の子の探偵(というと本人は激怒する)リディア・チンと白人の40過ぎの探偵ビル・スミスのコンビぶりとゆーかの絶妙のやりとりが大好きで、ミステリーでありながら充分普通小説としても読める書き込みが大好きで、翻訳の直良和美さんがとってもいい感じの文章で、毎年指折り待っていたシリーズ。
第3作までは順調に出ていて、解説によると原書では順調に巻を重ねているとあってほくほくだったのに、第4作がなかなか出なくて気をもんでいたんである(3年くらい待ったような気が)。
何気なくミステリ文庫の棚を覗きに行ったら朝倉めぐみさんの夢にまで見た(大袈裟(^_^;))表紙が!!はやる心を抑えつつ著者名を確認し、喜び勇んで即購入した。
というわけでS・J・ローザン『どこよりも冷たいところ 』ヨロコビに打ち震えつつ読書中(笑)。
ちなみにこのシリーズは一人称で書かれていて、語り手が第1作はリディア、第2作はビル、というふうに交互にくるんである。今回はビル。いきなり建築の哲学的な話から始まったのでちょっと驚いたけど、うんうんこーゆう雰囲気だったよなあと確かめつつ読み進んでいます。ふふふふふ。
【2日目】
面白い小説ほど長く読んでいたいものだが、現実には面白ければ面白いほど集中するし、ヒマを見つけてはページを繰るから読み終わるのも速くなってしまう。というわけで『どこよりも冷たいところ』読了。
今回のも良かったです。この人の小説ってほんと、ミステリーではあるけれども、同時に描かれるテーマが毎回結構重いというかきちんと書いてあるので、いろいろ考えさせられる。今回は「社会の不況」というのが根底にあって、現在の日本が長い不況に陥っていることもあり、リアルな感じでしみじみしました。黒人と白人の問題というのは実感としてはよくわからない事もありますが、これもこの人の小説ではよく出てきます。別に深刻に書いてあるとか問題をことさら強調してるとかではなく、ただもう「当たり前にある」問題のように書かれているし、実際そうなんでしょうね。アメリカが舞台ですから。
あまり書くとネタバレになるのでそれはしませんが。今回ので印象に残ったのはデニーズ・アームストロングとチャック・デマティス。リディアはもーちょっと出てきて欲しかったように思うけど、まあビル視点だし。建設現場が主な舞台で、詳しく書いてあるなあ、と思っていたらさもありなん。解説を読んで納得しました。ローザンさんって建築家だったんだそうです。なりほど~!