2002/07/25

コンビニ・ララバイ

コンビニ・ララバイ
池永 陽
集英社 2002-06


by G-Tools

■池永陽
帰りの電車で読み始め、ぐんぐん引き込まれて家に帰っても夕飯を食べるあいだももどかしく読み、読了。いやあ~、素晴らしい!ベストワン候補がきたなあ。実は今まで別のを候補にしていたのだが……ううっ、迷うぜ!でも、こーゆー迷いはウレシイ迷い。
短篇なのだけど、同じコンビニを舞台に繰り広げられるそれぞれの人間模様。――まとめるとこうなるんだけど、なんていうか。。。涙は流れないけど、心が揺れる、何かがこみ上げてくる、いろいろな思い・感想が湧き上がってくる。……一言で言うと、「読書感想文を自主的に書きたくなる」ような作品集。つらいこととか苦しいこととか、そういうことも書いてあるのだけれど基本的な著者の姿勢に厭世観が微塵も感じられないため、何故か応援歌的なパワーがある。ハッピーエンドでない話がいくつもあるけれど、ポジティブなのだ。別にわざとらしいセリフも青春映画のような夢と希望があるわけでもなく、むしろ悲しさだけが残っていたりすることもあるのにもかかわらず。
人は、それぞれの背景をかかえて生きている。それを背負って下向きになってしまうことだってあるだろう。でも、下向きだったって、生きていればもしかしたらそれだけで価値があるのかもしれない。誰の役に立つとかそんなことじゃなしに。生きている、そのことで。――そんなことを、ふと思った。死んでしまった人間は思い出や夢にはなっても、そこから変化はしない。変化するとすれば、死に相対する生者の考え方の方なのだ。苦しい苦しい苦しい。死んだほうが楽だ。……でも苦しい中で死んだら、それはそこから動かない。最も苦しい中で終了なのだ。汚れたって、人から何と思われてたって、そこから這い上がるためには生きていく強さが必要なのだ。
きれいごとで、人生は終わってくれない。でも、どんなにすばらしい死であっても、「生きつづけること」にはかなわないんじゃないかな。そんなことを考えた。