2002/06/02

脳男

脳男
首藤 瓜於
講談社 2000-09


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■首藤瓜於
先日読んだ『事故係生稲・・・』の著者の江戸川乱歩賞受賞作(つまりこれがデビュー作。同賞受賞作は必ず単行本化されるのです)。――実はこの本、出た当時(2000年9月)に買ってあったのです。帯の選考委員のコメントに惹かれて買ったのですが、読み始めたらなんか馴染まないな、と思って「読みたくなったら読もう」と思って3ページ読むか読まないかで本棚へ→だったのです。このあいだ読んだ第2作が良かったので読んでみたのでした。

結論から言うと、面白かったけどストーリーは第2作のほうが私好み。「脳男」というんですけど別にSFっぽくはありません。ミステリーですね。人物造詣はなかなか興味深くて、30ページくらい読み進むとやめられなくなります。謎とかに対する興味よりは、どう展開するのか、どう書くのか、という興味が強くなります。ラストも、「ふーん、こう終わるか~」というなかなか面白い終わり方。宮部みゆきさんは「これがベストのラスト」だと評しておられます。面白いのは「脳男」というセンセーショナルなタイトルでありながら、その人物そのものについての描写はいたって現実的であり、かつ深く追究もないのです。なんでそんな存在になったか、というのもSFではなく医学的な根拠とかが多い。書く人によってこの題材は全然違う小説を生む、そんな感想を持ちました。アシモフが書いたらどうなるかな、みたいな……。次回作が楽しみです。