2002/06/16

サム・ホーソーンの事件簿Ⅰ

サム・ホーソーンの事件簿〈1〉
エドワード・D. ホック Edward D. Hoch 木村 二郎
東京創元社 2000-05


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■エドワード・D・ホック
この本、表紙のイラスト(尼子山クニ子さん)がイイカンジでずっと気になりつつも「絵で選んで中身が外れだったらヤだな」と思って避けていたもの。先日、このⅡが出ているのを見つけて「まあ、Ⅱが出たんならⅠもそこそこだろー」と踏んで購入したんであった。ちなみに帯に「週刊文春2000年傑作ミステリーベスト3位」ってあるんですけど、これはアテにすべきランキングじゃないですから(私的には、ですが)。

実際読み始めてどうかと云うと、えー、……まずまず、といったところか。すんげ傑作とかこのトリックは凄すぎとかいうわけじゃないですけど、不可能犯罪をテーマにしてるのでミステリ好きには嬉しいし、舞台が昔なのでほのぼの感もあって良いし、探偵サム先生も悪くない。う~ん、しかし、贅沢を言うともうちょこっとだけ、話の展開にスパイスが欲しいかなあ……。あと、最初と最後に現在の(老人となった)サム先生の語りがあるんですけど、これ……要らないんじゃないかなあ?と思う。蛇足というか。短篇なんだし、その方がキュッと締まるんじゃないかな。。。この老人が毎回「そのう――、御神酒をもう少しどうかね?」と言うのもなんだか嫌だなあ。若き日のサム先生のイメージとも違い過ぎるのでは。

これ、不可能犯罪なんだけど、何がピリッと来ないかと考えていたんですけど、たぶん、謎解きの過程にドラマチックさが足りないんだと思い当たりました。「名探偵皆を集めてさてと言い」というアレがナイ、というだけじゃなくてですね、なんでしょう。。。まあ、探偵そのものもすごく普通の常識ある知識人青年(お医者さんだし)であって、ホームズとかポアロとかウィムジー卿みたいな「華」がない、っていうのもあると思うんですけど。
まあ、しかし全体としてほのぼのしつつ不思議、というミステリーで悪くはないのです。眠る前に1つずつ読んだりしても、いいんじゃないでしょうか。

最後の「長い墜落」はサム先生シリーズではないもの。そして現代が舞台。トリックとか、謎そのものはなかなか面白いのだけど、あっさりしていることは共通している。