2002/06/01

百鬼園随筆

百鬼園随筆 (新潮文庫)
内田 百けん
新潮社
売り上げランキング: 49334

■内田百閒
【1日目】
昨日帰りささくれだった気持ちを鎮めるために本屋に寄ったら内田百閒の『百鬼園随筆』が新潮文庫から現代仮名遣いで新たに出されているのを発見、おお~、と思って買ってきてアットランダムに少しずつ読んでます。借金ネタが多いのかなあ?あと、随筆というよりはフィクションぽいのもいくつかある……。いずれにせよ、独特の雰囲気で素敵。のほほんでもないし和みでもないし、うーん?なんていうのかな。不思議系?違うなあ~。
――例えば百閒先生が士官学校でドイツ語を教えていたときのエピソードとか……教壇に立とうとして、ズデーンとひっくり返ってしまったのに生徒はみな笑うでも囃すでもなく生真面目に坐っている。後日、自宅に来た学生にそのときのことを話し、あれでは決まりが悪い、みたいなことを言うと、
その生徒は、お汁粉を頬張っていた箸を止めて、私を正視しながら云った。「私共は、他人の失敗を見て笑うのは、いけないことだと教わっております」
――どうです、面白いでしょう。別に噴出す面白さではありませんが。昔の士官学生さんの融通の利かないクソ真面目さを前にしては、世評を何処吹く風と我が道をゆく百閒先生も流石に一瞬閉口している、という様が想像されてなんともおかしいではありませんか。わははは、いいなあ~。
まあ他もこの調子でてらわない飄々としたゴーイングマイウェイぶりが満載で、ニヤニヤしてしまいます。途中で川上弘美さんの解説を先に読んでしまいましたがこちらに書かれたエピソードもまた楽しく、非常に良い感じです。なお、これには続編もあるので嬉しいです。
【2日目】
「続」の方が若い時分に書かれたものが収録されていて、十七歳で書いたものなどもあるが、解説を読んでそれと知って思わず再読してしまったくらい名文であり滋味がある。信じられない、凄い。十七でこんなもん書くか!?
【3日目】
気の向くまま読む。明らかに茶目っ気で書かれただろうユーモラスなものもある。この人は借金で有名だったそうだが、日暮れの雨上がりの後、外に出ると家々に明かりが灯っている、それが靄の中で光っている、というような描写をしておいて、「大した事だと考えて、少しく荘厳の気に打たれた」と続くから、「この時代に電気というのはやっぱり文明的な感慨をもたらしたのかしらん」「アットホームとかそーゆう感じかナァ、美しいネェ~、幻想的だし」とこちらが勝手に感動していると、「みんな電灯料を二ヶ月以上は溜めていない証拠なのである。」とくるのである。――ガクッ。……そーゆうオチかいっっっ( ̄□ ̄;)!!――みたいな(笑)。
うおお!!すげえ!!私は本を読むときカバーははずして読むのですが、今『百鬼園・・』のカバーを何気なく見たら折り返しに「カバー装画 芥川龍之介」とあるではないか。「変な絵だなあ~、シュールで面白いけど」と思っていたけど現代のイラストレーターが描いたんだとばかり……。ひゃあ~。豪華!
続百鬼園随筆 (新潮文庫)
内田 百けん
新潮社
売り上げランキング: 262229