2002/04/16

プリズンホテル

プリズンホテル〈1〉夏
浅田 次郎
集英社 2001-06


by G-Tools

■浅田次郎
【1日目】
帰ってお風呂と布団の中で『プリズンホテル 1 夏』を読んで、読了。そんなわけで10日の日記は翌朝早めに起きて書こうと思っていたのに仕事で疲れていたため余裕もって起きれず、これは11日夜書いています。まあでもお蔭様で仕事の方はメドが着いたのでやれやれです……。
「プリズン・・・」は解説が1巻ごとについているようです。1は草野満代さん。あのアナウンサーの……。フーン。ハナシは繋がってるんですよね4冊とも。独立していない。まー、「夏」だけで終わっても成り立ってますけど。
私はこの本のタイトルだけは前から知っていたんですけど、頭の中で「プリズムホテル」と思っていて、「それで春夏秋冬、って分かれてるってなんだかキレイな感じだなあ、季節感のあふれた、太陽の光をあびてキラキラ光ってる感じかな?」とか思っていたんですよ(笑)。
「プリズム」じゃなくって「プリズン」というのはハナシを読み始めてすぐ気が付いて……。で、あれ?「プリズンって何?」と思いつつ内容が「任侠団体専用のホテル」のハナシだし、全然「太陽の光」みたいなキザな描写はないし(笑)。
――でも、相変わらずの心に染みる人物描写&背景で。登場人物みんながなんか、なんていうのかな、「是非お会いしたい」というか懐がでかかったり、人間として尊敬してしまったりあったかかったり。それでいて、「感動話」になりきらない匙加減が絶妙だね。まだ「泣きの浅田」に大泣きはさせられていませんが、不覚にも目元が熱くなった場面はアリ。くそう。
【2日目】
『プリズンホテル 2 秋』を読書中。このシリーズはいろんな登場人物がいて彼らが回り灯篭のように章ごとに語り手(というか主観?)になるんですけど、1人称なのは小説家の木戸だけ。あとは3人称。
この木戸ってのはどーしようもない野郎で、でも確かに愛すべき点もある人物で憎めないんだけど、「そこんとこは許せん」ってのが結構あって。特に、「秋」に登場する木戸の愛人(?)の娘のミカちゃん(6歳)ってのがいるんですけど、これに対する木戸の態度がもう、だめ!!
別に虐待とかはしないんだけど、そりゃ血はつながってないし「我が子」とは思ってないんだろうけど、――なんでなんで、そんなに冷たいんだ。なんで怒鳴るんだ。そんなことでしか自分を保てない「弱いキャラ」であり、自己嫌悪もしてるみたいだから同情もするけどさ。でも、だめだよ、やっぱり。……なんで、小さい女の子が必死に生きているのに、抱き締めてあげないんだろう?ああ。……読んでいると、もう駆け寄っていってこの女の子を抱き上げたくなります。うううう。
浅田次郎さん、信じてるわよ。この「秋」で、とまでは急がないから、「春」くらいではミカちゃんを抱き締めて泣く木戸っちを書いてよね。
【3日目】
『プリズンホテル 2 秋』読了。うお、早くも私の望みを書いてくれました。うんうん、木戸っちもそこまでバカヤロ抜け作じゃなかったってことネ~。よしよし。――ということでどうやらこのシリーズは一つのシーズンでいちおうの決着は着くみたいですね。もちろん、美加ちゃんの事件(?)以外にもいろんなデキゴト・ゴタゴタは並行して起こってるざんす。でもみんなちゃんと描ききってあるざんす。素晴らしいざんす。シェ~!(何故イヤミ?あ・嫌みってことじゃないざんすよ~)。
解説は安藤優子さん。ってこのひともアナウンサじゃなかったですか?ちらっと『冬』の解説者を見たらそれもアナウンサだから……、ははあ。そういう統一かあ。
とゆーわけで『3 冬』を読み始め。なお、「プリズンホテル」は「監獄ホテル」と訳せるのですけど、最初読んでたら「どこが"監獄"なの?むしろこんなにくつろげて快復できる安らぎの場所ってないっしょ」と思ってたんです。で、それは今も変わらないんですけど。どうも「監獄」というのはいわゆる「監獄」を指しているワケじゃなくって、もっと深く広い意味で使われているようなのです。はい。そしてその意味するところは読んでいただかないことには伝わらないという……。ところで『冬』には『きんぴか』に出てきた看護婦のマリアさんが出てくるのです。おお。……作品としてはどっちが先に書かれたんだっけ?
【4日目】
『プリズンホテル 3 冬』一日読んで読了。このへんになるとリズムに乗ってしまってどんどこ話が進むし読んでしまうのでもったいない。内容はヘビーなのになあ。解説は雨宮塔子さん。……なんでアナウンサでそろえたのかなあー?内容とは全然関係ないんですけど。
【5日目】
『プリズンホテル 4 春』読書中。うーん、このシリーズは主人公の木戸がやっぱ、目玉だなあ。他もいっぱい出てくるけど、そしてそれぞれが面白いし味があるんだけれど、何より木戸ほど人間くさく、情けなく、容赦なく描かれているキャラは他にいない……。逆にいえば、木戸がいなければこの小説なんか、非現実のかたまりだ。理想的ではあるけれども。うん……。
【6日目】
『プリズンホテル 4 春』帰りの電車の中で読了。いやあ~、私こういうのは泣きはしないんですけどもうね、「これでもかああ!!」ってくらい悲惨というか同情してしまうというか……可哀相という言葉は大嫌いですけど、うーん、なんて言ったらいいのかな、とにかく人として、もしそんな境遇の身の上話をされたならば絶句して鼻水と涙ぐちゃぐちゃになって肩を抱くしか出来ん……、というような登場人物がなんぼでも出てくる、それが『プリズンホテル』という小説でした。中でも最終巻の『春』は最強やったね……。泣きそうになる寸前の状態がずーっと続いている、という読書でした。電車の中やからもし臨界点に達して泣いたらヤバいなあ、と思いつつ「ええわ、泣いてしもたら泣いたろ」と開き直って読んでたんですけど。……あんまりにもフルコースで来るから逆に泣かんかったんだと思います。浅田さんというのは出し惜しみしはらへん作風ですねえ。ほんま。(ところでなんで今日の日記は関西弁炸裂してんのやろ(^^;)。
昨日の日記にも書きましたが、これは主人公木戸以外はある意味出来すぎているというか、非現実的というか理想的というか「小説的」なキャラたちなんですけど(聖人君子ってわけではないですよ)。木戸っていうのが行動が予想できないキャラで、しかも性格もつかみ難い。「も~、あんたとはやっとれんわ!」と言った後で振り返ったら泣きべそかいてるので驚いてしまう、そんな感じなのです。情けない、情けないけど嫌いにはなれん。……このキャラの名前は浅田次郎さんが昔使っていたペンネームなんだそうですが、はあ。。。浅田次郎さんって、どういう方なんでしょうね?とかあらためて思い巡らしたりしてしまうのでした。
しかし一言だけ言わせて貰うならば、清子みたいな女はいないぞ。絶対おらん。まー、小娘のワタシなんぞに言われんでも浅田師匠はよ~くご存知で書かれたんだろうが。これは男の(もとい、浅田次郎氏の)究極の理想なんであろうのう。……しっかし清子みたいなキャラと木戸みたいなんを同じ小説上で描いちゃうって凄過ぎるなあ。。。